炎の一筆入魂BACK NUMBER
専門学校卒の星・一岡竜司。
広島で輝く、庶民派のド根性右腕。
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byKyodo News
posted2017/07/13 17:00
今季はすでに29試合に登板しており、安定的にチームを支えている。広島の連覇には一岡の活躍は必須条件である!
「FAのせいで来たという思いはない」
「巨人には、無名の専門学生を指名していただいて、一軍の舞台にも立たせてもらった。感謝でいっぱいです」
過去を振り返りながらも、一岡はすでに前を向いていた。
「FAのせいで来たという思いはない。逆にチャンスをもらった。期待されて、来たと思うので、大竹さんほどの実力、実績を積み上げていきたい」
移籍会見では力強く宣言。
ユニホームは黒から赤、背番号が「46」から「30」へと変わった以上に、一岡の野球人生は大きく変わっていった。
広島に来て、様々な背景の投手たちと触れ合って。
広島では、同世代の投手たちがすでに一軍の常連となって投げていた。年下の今村猛や中崎翔太、同学年の中田廉。新人の大瀬良大地や九里亜蓮も一軍春季キャンプに参加していた。
「有名な年上の方ばかりではなく、年が近い選手も多く、ドラフト下位指名でも一軍で投げている投手も多いところが気持ちを楽にしてくれた」
気づけば専門学校出身というコンプレックスなどなくなり、ただ純粋に野球に打ち込むことができた。
移籍1年目の'14年から開幕一軍入りを果たすと、勝ちパターンの一角として起用され、登板20試合まで防御率0点。その間、12ホールドを積み重ね、初勝利、初セーブと確かな足跡を刻んだ。
チームへの好影響だけでなく、広島での活躍により沖データコンピュータ教育学院への入学希望者が急増する効果まで与えた。