ぶら野球BACK NUMBER
ジャイアンツを追って東北へ……。
村田兆治伝説と福島牛の2泊3日旅。
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph byYasutaka Nakamizo
posted2017/07/13 11:00
これぞ「野球ぶらり旅」の醍醐味! 巨人戦がある球場最寄り駅の「羽前長崎駅」の佇まい。
ホテルのエレベーターから真中監督が……。
……って、それにしても弱いな。
福島での東北シリーズ第2戦、山田哲人の先制10号ソロアーチで始まった試合はヤクルトに序盤4点を先制されると、今の巨人打線にそれを跳ね返す力はなかった。これで最下位攻防戦と言われたこの遠征は1勝1敗の痛み分けだ。
でも、まあいっか。
究極のあづま球場グルメ「福島牛ザ・サーロインステーキ」(1200円)のムチムチの肉厚を堪能した俺は、明日があるさと帰りのシャトルバスに乗り込んだ。
街の居酒屋でも「福島牛のローストビーフ」に舌鼓を打ち、ホロ酔いでホテルに帰ると意外な事実が判明する。エレベーターの扉が開いたら、なんと中から真中監督が出て来たのだ。知り合いでもないのに反射的に会釈すると、微かな笑顔が返ってくる。よく見るとロビーのソファに座っている右腕を吊ったガタイのいい兄ちゃんは雄平である。どうやら今夜、自分はヤクルトの宿舎と同じホテルに泊まっているらしい。ホテルの外にヤクルトのレプリカユニを着たファンが多いのも頷ける。
よしラッキー……って大人になってもプロ野球選手と遭遇すると妙にテンションが上がるのはなぜだろう。
不思議なものだ。
それぞれ数日前まで別の場所にいたはずなのに、まるで引き寄せられるように選手もマスコミも多くのファンも、この街、この場所に集結している。
そこにプロ野球があるから。
福島の夜、そんな愛すべき野球バカたちと乾杯だ。