リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
スペインは16歳時点での選考重視。
才能を生み続けるサッカー育成文化。
posted2017/07/09 07:00
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Getty Images
6月16日から30日にかけて、ポーランドでU-21欧州選手権が開催された。
現役時代バルサやレアル・マドリーで活躍したアルベルト・セラーデス率いるスペインは、プレイオフを経ての出場ながら、グループステージ3試合と準決勝イタリア戦全てに快勝。1試合平均3得点というずば抜けた攻撃力を武器に、そのまま王座まで一直線かと思われたが、決勝ではバイザー(ヘルタ)の巧みなヘディングで先制したドイツに押し切られ、タイトルを逃して大会を終えた。
得点ランキング1位のサウール(アトレティコ・マドリー)と2位マリコ・アセンシオ(レアル・マドリー)ばかりかMVPセバジョス(ベティス)を擁しながら大一番を無得点で落としたことに、チームはさぞ悔しい思いをしたに違いない。
バルサ、マドリー以外からも様々なクラブから招集。
が、視野をもう少し広げて考えると、十分な結果といえるだろう。というのも、これによりスペインは直近5大会で優勝2回、準優勝1回。即ち、国レベルで、優れた選手のコンスタントな育成に成功していることになるからだ。
実際ポーランドへ連れていかれた選手の出身クラブを見ると、バルサが4人でマドリーが3人、アスレティック・ビルバオ、レアル・ソシエダ、バレンシア、セルタがそれぞれ2人ずつ、そのほかマジョルカ、エスパニョール、ビジャレアル、アトレティコ、ベティス、オサスナ、スポルティング、カディスから1人ずつと、見事にばらばらである。
セラーデス自身、「多くのクラブが良いコーチと素晴らしい練習方法をもって最高の選手育成を実践している」と語っており、勝てる代表を作るべく「協会の関係者はその成果を活かすことに努めている」という。
しかしスペインU-21代表の強さの秘密はそれだけではない。セラーデスによると、カギはU-16代表にある。