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スペインは16歳時点での選考重視。
才能を生み続けるサッカー育成文化。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2017/07/09 07:00
若き無敵艦隊の中軸を担ったサウール。アトレティコ・マドリーと9年にも及ぶ超長期契約を結んだ。
16歳以下はインテリジェンスとテクニック重視。
「最初の代表であり、最初のフィルターになるわけだから選手選びは一番難しいのだけれど、我々はU-16代表をとても大切にしている。この年代だと選出ミスは避けられないが、できる限り間違えないようにして、(選手の)入れ替えをしないで済むようにしている。U-16の段階で良いチームができれば、協会のコーチは全員同じ方針でやっているから、そのまま伸ばしていけるんだ」
首都マドリー郊外に本拠を置くスペインサッカー協会は、各地域の協会から得た情報などを元に全国の優れた“16歳以下”を日々チェックし、毎年60人から70人を練習や親善試合に参加させている。
その段階で、スペイン独自の色を出している。合否を判定する際、身体能力に重きを置くフランスやイングランドと異なり、インテリジェンスとテクニックを重視するのだ。
「それでどうなるかというと、フィジカル面がものを言う年代なので、『これは当たりかも』と直観した子が全く目立たなかったりする。でも、技術が秀でているなら我々は選ぶ。必要経費のようなものだよ。後に収穫できればいいんだ」
若手のほとんどがベテラン揃いの2部Bで戦う。
協会関係者が考えるもうひとつのカギは、スペインの2部と2部Bリーグの厳しさだ。欧州の他の国では、Bチーム(サテライトチーム)が戦うリーグの競争はそれほど激しくなく、おかげで「カンテラ上がりがプロの世界に飛び込み難くなっている」とセラーデスは語る。
「ところがスペインでは1部に属するクラブのBチームのほとんどが、ベテラン揃いの2部Bで戦っている。子供が大人と勝負させられている。これは鍛えられるよ。勝負強さを身に付けるという点で大きなアドバンテージだ」