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降格圏の広島、データは意外と……?
シュートやパスは優勝した年より上。
text by
原山裕平Yuhei Harayama
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/06/21 13:00
なかなか勝てない日々が続く広島……チーム生え抜きで過去の数々の栄光を知る森崎(写真中央)も、簡単には打開策は見い出せないという。
単純に守備や攻撃といった部分の問題ではない?
そうではないと、森崎は主張する。
「やっぱり連動した動きですね。今はほとんど、ポジションチェンジとかもないので、相手からすれば、そんなに怖さはないんじゃないでしょうか。パスの出し手と受け手の関係しかないと、なかなかゴールに結びつけるのは難しいかなと思います」
森崎に関しては、興味深いデータがある。それはパス交換ランキング。
2015年のトップ5には、すべて森崎の名前が記されているのだ。一方で今季のトップ5は最終ライン間のパスが上位を占めている。
コンディション不良もあり、今季はなかなか出場機会を得られていない森崎だが、データ上では重要な役割を担っていたことが表れている(「データは関係ない」という本人の発言とは矛盾してしまうのだが……)。
千葉も森崎の存在の大きさを十分に理解している。
「たしかにカズさんのところから、縦に入る機会が多かったですし、オートマティックなパス回しができていたと思います。でも、今はそれができていないので、スムーズに縦に入れられなくなっています」
一方で森崎の見解はこうだ。
「後ろだけの問題ではないと思います。前の動き出しもそうですし、効果的な動きというか、良いポジショニングを取れてないからこそ、後ろの選手もなかなか前につけられない。後ろだけの問題ではないし、前だけの問題でもない。結局、全体の問題です」
試合後半、川崎をどんどん押し込めた戦術オプションも。
もっとも川崎戦ではひとつの光明があった。
それはシャドーを主戦とする柴崎晃誠のボランチ起用だ。
1点ビハインドで迎えた67分、森島司の投入によりシャドーからボランチにポジションを移すと、広島のパスワークは一気にスムーズさを増した。
柴崎は最終ラインからボールを引き出しつつ、孤立気味だった司令塔の青山敏弘をしっかりとサポート。終盤は2トップにして攻勢を仕掛けたこともあり、広島はほぼ一方的に川崎を押し込んだ。結局ゴールを奪えずにそのまま敗れたものの、柴崎がボランチに入った約20分間の戦いは、広島の今後に希望をもたらすものだった。