サッカーの尻尾BACK NUMBER
「吉田の相棒」に、この男はどうだ?
鈴木大輔が欧州での1年半を語る。
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byAFLO
posted2017/06/16 08:00
昔から精悍な顔つきだったが、現在の鈴木大輔はいかにも頼れるCBという風貌に。ロシアW杯時は28歳。
CLに出てるCBとはどんな違いを感じているか。
スペインで過ごす中、リーガの試合を見ることも増えた。先日のチャンピオンズリーグ決勝も、守備組織について考えながら見ていたという。
「欧州のトップリーグのCBは、基本的に力がある選手たちです。でもあの決勝に出ていたような、セルヒオ・ラモスやバラン、キエッリーニ、ボヌッチ、バルザーリは何が違うのか。それは醸し出す雰囲気だと思う。
攻められて耐えている時間帯なんだけど、とくにやられている感じがしない。レアル・マドリーも、前半は結構攻められていたんです。でも彼らは、やばいと思っていないし、やり過ごすのがうまい。それもサッカーだ、こういう時間もあるさと。そういう深み、です。本当に守備のレベルが高かった」
「雰囲気が出てるCBって、すぐにわかるんです」
鈴木自身が考えているのも、テクニカルな部分よりも、ひとりのセンターバックとしての深みであり、動じないことだという。
ナスティックの中でも鈴木は決して大きな方ではない。しかしピッチの彼を見ていると、不思議と身長181cmには見えない。背筋を伸ばし、常に顔を上げ、積極的に指示もする、そんな風貌がそう思わせるのだろうか。スペインにやってきて1年半の、いわば新人の外国人選手の印象はない。
「雰囲気が出てるCBって、すぐにわかるんです。そういう選手が理想です。どしっと構えて動じずに、自分を大きく見せて、堂々とプレーする。ボヌッチやチアゴ・シウバもそう。それに彼らは何かミスをしたとしても、すぐに次に気持ちを持っていける、どこか一歩引いた余裕、深みがある」
そういったCBと自分を比べているのだろうか。鈴木自身は、チームの中でCBのファーストチョイスになれなかったことを、素直に「実力不足」と考えている。
しかしチームメイトなど、周囲の評価は今季を戦い終えてさらに高まった。言葉の上達も、地元でよく指摘されることだ。今季は意識的にスペイン語でのメディア取材を積極的に受け、ラジオの生番組に出たこともあった。