サッカーの尻尾BACK NUMBER
「吉田の相棒」に、この男はどうだ?
鈴木大輔が欧州での1年半を語る。
posted2017/06/16 08:00
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph by
AFLO
3シーズンくらいやったんじゃないか。
鈴木大輔は、ヒムナスティック・タラゴナで戦った今シーズンのことをこう振り返る。これだけ1年が長く感じたのは、キャリアでもはじめてのことだった。
ナスティック(クラブの愛称)は最終節で2部残留を決めた。しかし昨季の今頃は1部昇格プレーオフを戦っていたことを考えると、低迷したシーズンだったと言ってもいい。
2年目となる鈴木にとって、多くのことを考え、経験したシーズンだった。
度重なる監督交代。ベンチに座る時間もあった。システムも、監督の指示も、ポジションも変わっていった。
「初めて1年を通してやってみて、こんなにタフなリーグなんだと。去年は気づかなかったことでした。うまくいかないことも多かった。ポジションも3バックと4バックを含め、5、6つはこなしましたね。ウイングバックまでやって」
スピードのあるFWに何十回も裏を取られた試合も。
監督や戦い方が変われば、求められることも変わってくる。突然左サイドバックで起用された時も、右ウイングバックで攻撃参加を求められた時も、鈴木は何も言わずにひたすらこなした。
「自分のポジションはセンターバックだと思っています。でも、やれと言われればやりますし、それはいつか自分の財産になる。ウイングバックでやる時も、次にCBで出るときに生かそうと思っていた。絞る位置や、ボールを受ける位置はどこなのか、それを生かそうと。ディフェンダーとしての幅は広がったと思います」
シーズンを通して、あらゆる相手と対戦してきた。ある週は落ち込み、ある週は手応えを感じた。スピードのあるFWに「何十回も」裏を取られた試合もあった。体をぶつけてくる巨大なFWをフィジカルで抑えたこともあった。欧州のサッカーを、体で感じたシーズンだった。