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巨人で埋もれた才能を掘り起こせ!
鹿取新GMに託された育成の再建。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2017/06/16 11:00
記者会見後、握手する石井新社長(左)と鹿取GM。今季の巻き返しと同時に、長期的なチーム強化も並行するタスクを託された。
鹿取GMが見たのはアマチュアのトップだけではない。
そのときに鹿取GMが見てきたのは、各世代の代表に選ばれたアマチュアのトップ選手や候補になった多くの世代の選手たちだった。
そしてもう1つ、さらに言うなら、そこで代表に選ばれた選手ばかりではなく、それ以外にも多くの選手を見てきたことに意味があったのではないだろうか。様々なカテゴリーで選から漏れた選手も見てきている。その中には一芸に秀でた若い才能もいたし、そういう選手のどこが優れていて、どう鍛えられれば羽ばたくかも見てきている。
「まだちょっと制球が甘くて代表から落としたけど、真っ直ぐの力があるし、もうちょっと鍛えればプロを狙える投手になるはずだ」
「あそこの内野手はスピードが半端ないけど、ただちょっとパワーが足りない。きちっと育って身体ができてくれば高校、大学でトップクラスの選手になってプロにいけるんじゃないか」
鹿取GMがこんな風に熱く語るのを聞いたことがある。
埋もれている才能の掘り起こしの、大きな力に。
試合だとどうしても結果を見てしまう。しかし代表選考という場で、結果だけではなく選手の力を冷静に評価してきた。
また代表に選ばれた選手たちとは、共に合宿を行い遠征して国際試合を戦った経験もある。その間に選手の私生活から性格までつぶさに観察してきている。
簡単に言えば球団のスカウトが、アマチュアの監督や周辺の関係者への聞き取りで調べていることを、自分で見て評価してきているということだ。そうして見てきた選手たちが、いまちょうど高校から大学に散らばって、ドラフトの対象となっているのである。
「今回、彼らをスカウティングできる可能性もある」
就任会見で鹿取GMが語ったこのアドバンテージが今後のドラフトに活かされる。そうすれば全国的に評価の高い選手ばかりではなく、埋もれている才能の掘り起こしという点でも大きな力となるはずだ。