プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人で埋もれた才能を掘り起こせ!
鹿取新GMに託された育成の再建。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2017/06/16 11:00
記者会見後、握手する石井新社長(左)と鹿取GM。今季の巻き返しと同時に、長期的なチーム強化も並行するタスクを託された。
何よりも若い生え抜きの中心選手が不足している。
加えて先発に山口俊投手、勤続疲労の目立ってきた山口鉄也投手に代わる左のリリーバーに森福允彦投手を獲得し、昨季リリーフ失敗の目立った澤村拓一投手の穴埋めにアルキメデス・カミネロ投手を加えた。誤算は山口俊と陽がケガで出遅れたことだったが、これも補強時点では予測のつかないことである。
実際にはこれまで失敗続きだった外国人選手は機能して、ケガが癒えて戦列に加わった陽と山口俊の活躍を見れば、補強自体に「見る目がなかった」(こう評したのは渡邉恒雄読売グループ本社代表取締役主筆だった)わけではないことがわかる。最終的な評価は待たなければならないが、現時点では低迷の原因が補強の失敗と結論づけるのは拙速だということだ。
では、なぜここまで負け続けたのか?
一言で言えば補強はしたが、若い生え抜きの中心選手の不足だった。見回してみてもこれからのチームを支えるような生え抜きは投手では菅野智之投手と田口麗斗投手、野手では坂本勇人内野手以外にいない。要は脆弱な土台の上に補強で選手を積み重ねたのが今の巨人なのである。そして土台の方が崩れてしまった結果が、今回の連敗だったのである。
「良いスカウティングをして、そこから育てていく」
その点を鹿取新GMはどう見ているのか。
「ここ何年かのチームの低迷は阿部、村田、長野(久義)、坂本という選手が頑張っているが、若い選手が出てこなかったことに欠陥があると思う。そこを補うようなプランニングを立てて、良いスカウティングをして、そこから育てていく。育成も含めてやっていきたい」
就任会見で掲げたテーマは「スカウティング」と「育成」と、まさにそこだった。
実は同GMには大きなアドバンテージがある。経歴を見ると現役引退後には巨人や西武でのコーチ経験の他に、もう一つ特筆すべきものがあるのだ。
それは2006年から侍ジャパンに関わりトップチームだけではなく、全世代の選手を見てきたことと、'14年からはU-15(中学生以下)の代表監督も務めてきたことだった。