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FA杯優勝を“花道”にすべきだった?
ベンゲル続投にファンが賛否両論。

posted2017/06/04 07:00

 
FA杯優勝を“花道”にすべきだった?ベンゲル続投にファンが賛否両論。<Number Web> photograph by Getty Images

勝負弱い印象がついてしまったベンゲルだが、今回のFA杯獲得はコミュニティーシールドを除くとアーセナルで通算10度目となるタイトル獲得である。

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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 5月31日、ついにアーセン・ベンゲルの去就が正式に決定した。

 29節ウェストブロムウィッチ戦敗戦後、指揮官が「じき明らかになる」と報道陣に告げてから約2カ月半が経ってのことだった。

 アーセナルはベンゲル体制下で過去最低となる5位で終えた。しかし、今季を締め括る5月27日のFAカップ決勝では、下馬評を覆してチェルシーに勝利。就任21年目の指揮官は大会史上最多となる13度目の優勝をアーセナルにもたらした。2日後、面談したオーナーのスタン・クロンケの完全支援を受け、その翌日に2019年6月までの新2年契約締結が発表された。

 ベンゲルが最後に笑ったFAカップ優勝は、複数の国内紙で「セブンス・ヘブン」と表現された。数字の「7」にまつわる勝利を伝える場合に頻出する見出しだ。今回の優勝は、監督個人としても大会史上最多となる7度目のFAカップ制覇だった。「至上の喜び」という意味を持つ言葉は、ベンゲルに適したものと言える。

 13年連続でリーグ優勝を逃したベンゲルに対しては、シーズンを通じて退任を求める声がやまなかった。メディアはもちろん、一部のファンや、ポール・マーソン、マーティン・キーオン、トニー・アダムスといったかつての主力選手たちからも限界を指摘された。

FAカップ決勝でチェルシー相手に今季ベストゲーム。

 一方、ベンゲル自身には当初から続投の意思が見て取れた。

 例えば37節サンダーランド戦、自力での浮上が不可能になっていた4位以内の可能性について問われてるち「過去20年間は別に評価していなかったくせに、なぜ今になって騒ぐのか?」と返答。トップ4漏れを「今季限り」の理由とする意見にも取り合わなかった。

 FAカップ決勝は、もベンゲルが「(続投を訴える)最高のプレゼン」と話した通り、今季ベストゲームと呼べるもので、「近年で最高」と評する国内紙もあった。倒した相手はリーグ王者にして、ロンドン市内のライバルであるチェルシー。そのチェルシーのお株を奪う3-4-2-1採用が奏功し、アーセナルは立ち上がりから果敢な戦いぶりを見せたのだから。

【次ページ】 同点とされても今までのように精神面で崩れなかった。

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