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柳田将洋「このままでは埋もれる」。
男子バレーで海外移籍、プロ転向。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKiyoshi Sakamoto
posted2017/05/23 11:30
柳田も選出されている全日本男子。今年度最初の国内での試合は6月9日からのワールドリーグ高崎大会となる。
「このままでは埋もれていってしまう」
「レセプションひとつとっても藤中、リベロの選手に比べて劣るのが現実です。海外に行ったからといって、レセプションや攻撃など自分のチーム内での仕事が増やせるかというと、それは、今はわかりません。すべて、これからの自分次第だと思っています。僕は日本のV・プレミアリーグのレベルは高いと思っています。レベルが低いから海外へ移籍するとはとらえてほしくない。海外移籍は、代表でプレーするため、代表に入り続けるために、自分のスキルを磨くひとつのアクションです」
2020年の東京オリンピックだけにとどまらず、その先の自分も視野に入れて、自身を高めるために心を決めた。
「国内にもいい選手がどんどん出てくる中で、自分も環境を変えていかなければいけないと思う。でなければ、このままでは埋もれていってしまう」
危機感にも突き動かされたと話す。
「僕のバレー人生を有意義にするのは、自分自身」
日本男子バレーボールにおけるプロ契約第1号選手として、全日本でも活躍した山本隆弘は自身の経験をこう語った。
「僕の場合は肩の故障を抱えたままプレーする上で、体のケアに力を注ぎたいと思ってプロになったんですが、もしプロになっていなかったら10年間も現役でプレーできなかったと思います。“バレーをやめても社員として会社に残れる”と考えてしまっていたと思いますね」
コンディション維持のために専属トレーナーと個人契約を交わすなど、プロになって、より一層、自分の体に気を配るようになったと振り返る。
柳田もまた、あえて自分を崖っぷちに追い詰めることを選んだ。
「今までは会社という後ろ盾があったけれど、これからはすべて自分で決断しなければいけません。でも自分で決めたこと。プロとしての僕のバレー人生を有意義にするのは、これからの自分自身だと思っています」(柳田)
柳田の決断の行方に注目したい。