プレミアリーグの時間BACK NUMBER
降格でもコンテ級評価の39歳監督。
マルコ・シウバは新モウリーニョか。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2017/05/21 11:30
ポルトガルが生んだ名将モウリーニョ監督(右)と並び立つマルコ・シウバ監督。新たな“スペシャル・ワン”として現地でも取り上げられる機会が増えそうだ。
マンU、リバプール相手に1勝1分けの好成績。
前体制で20節までに3勝しかできなかったハルだが、シウバ体制になって以降はリーグ戦17試合で6勝を挙げた。また得点数は20試合17得点に比べて17試合19得点、失点数も44から29へと大きく減った。2月にはマンチェスター・ユナイテッド相手に敵地でスコアレスドロー、続くリバプール戦ではホームで金星を挙げ、強豪相手に今季初の2試合連続無失点を達成。新監督を迎えた後のホーム8試合は6勝1敗1引分けの好成績を残しているのだ。
シウバは『テレグラフ』紙の取材で「中でもボーンマス、ウェストハム、ミドルズブラとの3試合での逆転勝利は、ファンに闘う姿勢を見て取ってもらえた」と強調した。新体制初戦のボーンマス戦ではファンがフロントへの抗議の声を挙げるような状況だったが、その後は「12人目による後押し」を受けられるようになっていた。
サウサンプトン、レスターの次期監督候補との噂も。
ハルは最終的に、降格を免れることができなかった。
しかし、クリスタルパレス戦での完敗がメディアで「牙を抜かれた虎」と形容されても、指揮官への批判は見当たらない。監督としての持ち味を、逆境中の逆境にあったハルで即座に発揮したのだから、プレミアの他クラブが放っておくはずがないだろう。2部降格時にはハルに縛られない契約条件も“逃避ではなく当然”と理解されている。噂される新任地には残留が叶ったワトフォードの他、サウサンプトン、レスター、ウェストハムといった中位クラスが含まれる。
シーズン終了直前のイングランドでは、人々はポルトガルからやって来た先達の言葉を今更のように噛み締めている。
ジョゼ・モウリーニョはユナイテッドの監督として、リーグカップでハルと対戦した1月時点で、こう言っていたのだ。
「彼は、いきなりトップレベルで仕事にありついたわけではない。カップ勝者となったスポルティングと、リーグ王者となったオリンピアコスでの仕事を経て今に至っている。経験を積んだ一人前の監督だ。是非ともプレミアで成功してもらいたい」