プレミアリーグの時間BACK NUMBER
降格でもコンテ級評価の39歳監督。
マルコ・シウバは新モウリーニョか。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2017/05/21 11:30
ポルトガルが生んだ名将モウリーニョ監督(右)と並び立つマルコ・シウバ監督。新たな“スペシャル・ワン”として現地でも取り上げられる機会が増えそうだ。
ポルトガル、ギリシャで実績を築いた青年指揮官。
現役を退いた34歳で監督に転身。祖国ポルトガルのエストリルでは、経営難に陥っていたクラブを1部昇格と欧州進出に導き、名門スポルティング・リスボンに引き抜かれて1年目でいきなりカップ戦優勝を果たし、クラブに7年ぶりとなる主要タイトルをもたらした。そして昨季まで指揮を執ったギリシャのオリンピアコスでは、2位に30ポイントもの差をつけてリーグ優勝を果たしている。
イングランドから見て、ポルトガルとギリシャリーグは「マイナー」的な存在だ。前者のエストリルはフットボールクラブの本拠地ではなくF1レースの開催地、後者については“オリンピアコスが勝って当たり前”という程度の理解でしかない。結果、年齢も39歳と若いシウバは「無名の外国人監督」同然に扱われた。
思い出されるのはマウリシオ・ポチェッティーノが、4年前にプレミアに初登場した時のことだ。サウサンプトンがエスパニョールから招いたアルゼンチン人監督に対しては、否定的な視線が多く集まった。
しかし世間の見る目が程なくして変わったことはご承知の通り。攻撃的なプレッシング・サッカーで評判を上げたポチェッティーノは、今やトッテナムを本物の優勝候補に変えた。
シウバにはモウリーニョと通じる部分が数多くある。
シウバには同じポルトガル人のジョゼ・モウリーニョに通じる部分が多い。イングランドのメディアに評価され始めた頃には「ミニ・モウリーニョ」と呼ばれもした。スマートカジュアルで決める出で立ち、戦術意識を植えつける強さ、監督としてのスタイルはモウリーニョ似に似ている。ちなみにハル就任時には、モウリーニョをクライアントに持つ敏腕代理人のジョルジュ・メンデスが絡んでいたりする。
また守備の安定を前提とするチーム作りと、カウンターを好む姿勢も共通する。就任2戦目は首位を走るチェルシーという厳しいカードだったが、相手と同じ3-4-3システムでマッチアップを図り、敗戦が惜しまれるほどの善戦を演じた。