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内田篤人「意外にできるじゃんって」
10年前のU-20W杯と、今大会を語る。
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byAFLO
posted2017/05/20 11:30
U-20W杯に出場する選手たちの中には、内田篤人より一回り下の選手もいる。先日娘の誕生も発表し、立ち位置も大きく変化してきた。
槙野や安田もいた“調子乗り世代”の冒険。
日本はこの2勝で突破を決めた。おかげで第3戦は主力を休ませ、控えに経験を積ませることが可能になった。この試合で先発した選手の中には香川真司もいる。第3戦はナイジェリアと引き分け、決勝トーナメントに1位で進出した。
「ナイジェリアとやったよね。アフリカ勢は嫌だったな。もう足が速いとか特徴がはっきりしてるから。そういう意味では中南米とか、アフリカとかよりヨーロッパが一番やりやすかったと思う。最後チェコね。勝てそうだったんじゃないっけ?」
決勝トーナメント1回戦はこの大会で準優勝したチェコを相手に、2-0でリードしながらも追いつかれ最後はPK戦の末に敗れた。日本は当時、槙野智章や安田理大ら明るいやんちゃな選手が揃っていたこともあり“調子乗り世代”などとスポーツ紙に愛称をつけられたが、この時の対戦相手のチェコも同じようなチームワークと明るさと勢いを感じさせるチームだった。それだけに、もったいない一戦でもあった。
「やっぱり監督とコーチが良かったんだと思うよ」
とはいえ、「楽しかった」と内田がこのチームを振り返るのは、単に選手同士の仲が良かったからだけではない。
「やっぱり、監督(吉田靖)とコーチ(森保ー)が良かったんだと思うよ。監督は基本的に優しい人なんだけど厳しいところもあって、アジア予選から主力をガラッと入れ替えたりもしていた。それって難しいこともあると思うんだよね。監督が優しい分コーチの森保さんがぴりっと締めてくれてたな」
吉田靖監督は、端から見れば穏やかで口下手な、選手になめられかねないタイプだ。選手をつけあがらせるか、のびのびやらせて結束を固めるかのさじ加減は難しいところだが、けじめをつけるところはつけ、コーチとのコンビネーションでチームをマネジメントした。
一方で起用にはシビアな一面を見せ、アジア予選では主力だった山本真希を、世界大会のメンバーにさえ選ばなかった。