セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
ユーベが狙う3冠、実はCLより……。
コッパで待ち受ける伏兵・ラツィオ。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2017/05/17 08:00
高速ドリブルと精度の高いアシストパスを持つF・アンデルソン(左から2人目)は鉄壁を誇るユベントス守備陣にとっても脅威となるはずだ。
ブッフォンも、ケディラも、ピアニッチもいない。
インザーギは彼一流の観察眼で、選手たちの適材適所を見極めている。チーム全体に攻撃サッカーを浸透させることができたのは、インザーギが持つ説得力とリーダーシップの賜物だろう。
今季、指導者として明らかに一皮剥けたインザーギの下、ラツィオは1年を通じて成長を続け、チームとして完全に成熟した。
フォルメッロ練習場では、もう1週間前から対ユーベ用の特別練習プログラムが組まれている。
コッパ決勝で王者ユーベのゴールマウスに立つのは、主将ブッフォンではなく大会担当の第2GKネトになるはずだ。加えて、CL準決勝で負傷し治療中のMFケディラも、累積警告で出場停止処分のMFピアニッチも出られない。
欧州の覇権奪回を目指すユベントスの志は立派だが、上ばかり見ていると国内で足元を掬われかねない。
ファイナルの会場は本拠地オリンピコで、地の利もある。今回の決勝はラツィオにとって千載一遇のチャンスだ。
ユーベにとっては、CL以上にやりにくい試合か。
FWインモービレやFWケイタ、F・アンデルソンは異口同音に強調する。
「全力を尽くしてきたからこそ、最後の目標は絶対に逃したくない。ユーベが強いことはわかっている。だが、コッパイタリアは絶対勝つ」
クラブ史上最強とも囁かれ、3冠達成を目論む王者ユーベは単なる強敵どころではない。だが、欧州最強クラブのひとつとなったユーベとの決戦を前にしても、インザーギは動じない。ローマのユーベ撃破は、ラツィオに大きな自信を与えた。
「グループの結束の成果を見せる。このチームは最高だ」
17日、再びオリンピコの夜。
ユベントスの3冠を阻むのは案外、伏兵ラツィオかもしれない。