酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
2000安打より200勝が難しすぎ!
エース級のMLB流出で絶滅の危機。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKiichi Matsumoto
posted2017/05/10 11:30
昨季限りで引退した黒田は日米通算200勝を達成した。今後NPBのみでの200勝達成を果たす投手は現れるのだろうか。
田中将大の24勝0敗を8年半続けなければ到達しない。
かつては、エースと言えば20勝が当たり前。200勝を挙げて初めて一流投手という感じだったが、今は最多勝でも15勝前後。先発投手のシーズン登板数は25~28程度だから、20勝は夢の数字になった。
2013年、楽天の田中将大が24勝0敗という空前の記録を作ったが、この記録を8年半も続けないと200勝には到達しないのだ。
その一方で、野手の選手寿命は延びた。体調管理やけがの予防の徹底、治療技術、リハビリの進歩で、30代後半でも元気に活躍する選手が増えた。昔は「2000本安打」は高卒でないと難しいと言われたが、今や大卒、大学から社会人を経由した選手にとっても現実的な目標になった。
年代順に200勝、2000本安打達成選手を分けてみると。
年代順に分けたNPB通算200勝投手、2000本安打を達成した選手数は以下の通りとなる(日米通算での達成者は含まない)。
<1940年代>
200勝投手:3人/スタルヒン、若林忠志、野口二郎
2000本安打:なし
<1950年代>
200勝投手:5人/別所毅彦、藤本英雄、中尾碩志、杉下茂、金田正一
2000本安打:1人/川上哲治
<1960年代>
200勝投手:5人/稲尾和久、小山正明、米田哲也、梶本隆夫、皆川睦雄
2000本安打:2人/山内一弘、榎本喜八
<1970年代>
200勝投手:2人/村山実、鈴木啓示
2000本安打:8人/野村克也、長嶋茂雄、広瀬叔功、張本勲、王貞治、江藤慎一、土井正博、高木守道
<1980年代>
200勝投手:6人/堀内恒夫、山田久志、江夏豊、平松政次、東尾修、村田兆治
2000本安打:13人/松原誠、柴田勲、大杉勝男、藤田平、衣笠祥雄、福本豊、山崎裕之、山本浩二、有藤通世、若松勉、谷沢健一、加藤秀司、門田博光
<1990年代>
200勝投手:1人/北別府学
2000本安打:3人/大島康徳、新井宏昌、落合博満
<2000年代>
200勝投手:2人/工藤公康、山本昌
2000本安打:10人/秋山幸二、駒田徳広、立浪和義、清原和博、古田敦也、野村謙二郎、石井琢朗、田中幸雄、前田智徳、金本知憲
<2010年代(2016年まで)>
200勝投手:なし
2000本安打:10人/小笠原道大、稲葉篤紀、宮本慎也、小久保裕紀、アレックス・ラミレス、中村紀洋、谷繁元信、和田一浩、松井稼頭央、新井貴浩