セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
初仕事は「王様トッティへの引導」。
逆境ローマをモンチ新SDが変える!
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2017/05/07 11:30
ローマダービーで醜態をさらしたトッティ。かつてゼロトップで一世を風靡したスパレッティ監督の再登板後、出番を減らしている。
いつからか“セリエ屈指の走らないチーム”に。
今季のチーム別総走行距離ランキングで、堂々の首位に立つのはナポリだ。彼らはゴール数(78得点)と総シュート数(485本)でも1位の座を占める。
翻って、ローマの1試合あたり平均走行距離105.673kmは、機能的な連動サッカーを誇るナポリより実に4.5kmも少ない。
驚くべきことに、もし走行距離でリーグ戦順位が決まるのなら、ローマは欧州カップ戦出場圏内どころか残留ギリギリの17位にしかなれないのだ。
昨季、ローマは苦労の末に3位をつかんだ。ポルトとの今季CLプレーオフに臨んだが、ホームでの2戦目で自滅しあえなく敗退、煉獄と呼ばれるELへ回る羽目になった。その時点で、今シーズンの歯車は狂い始めていたのかもしれない。
DFルディガーは今シーズンの悔恨を吐露する。
「うちを倒したリヨンはELベスト4に進んだし、ラツィオはコッパ・イタリアのファイナリストだ。今季もまた3位に終われば、俺たちには失うものが多すぎる。あんな悔しい思いは二度とゴメンだ」
相手DFの顔面にボールを投げつける40歳の王様。
およそ四半世紀、ローマはトッティとともにあり、トッティとともにローマはあった。
試合前日に「ラツィオをぶっ潰す」と威勢の良かった34節ローマ・ダービーでは、後半途中から出場したが40歳の老いた王様は何もできなかった。
トッティはコッパ・イタリア準決勝2ndレグの試合中にひと悶着を起こしている。
敗戦濃厚の劣勢に苛ついたか、アップ中だった彼はタッチラインを割ったボールを手にすると、目の前にいたラツィオDFウォラスの顔面めがけて明らかに敵意をもってボールを投げつけた。
試合後にそのシーンがSNSで拡散されると、ロマニスタ以外のファンたちは呆れ返った。
模範となるべき主将がこの有様では、チーム全体の規律が緩むのは自然のなり行きだ。