セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
初仕事は「王様トッティへの引導」。
逆境ローマをモンチ新SDが変える!
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2017/05/07 11:30
ローマダービーで醜態をさらしたトッティ。かつてゼロトップで一世を風靡したスパレッティ監督の再登板後、出番を減らしている。
欧州トップクラスのユベントスにも対抗できる守備陣。
守備も悪くない。
今季から新加入したDFファシオと2年目のDFルディガー、そしてDFマノラスを中心とした4バックは、4月中旬の31節までにリーグ最多タイの14試合を完封。守護神シュチェスニと守備陣は、欧州トップクラスの堅守を誇る王者ユベントス相手に一歩も引かない奮闘ぶりを見せた。
中盤にもリーグ最強のインサイドファイターであるMFナインゴランやオランダ代表MFストロートマンといった実力派を揃え、王者と張り合うだけの戦力はあった。
今季のローマは、ことごとく大一番で負けている。
ただし、ローマはシーズンのここぞという大一番で、ことごとく勝負弱さを露呈した。
ヨーロッパ・リーグ(EL)のベスト16ラウンドでは、シーソーゲームだった180分間を持ちこたえられず、2戦合計スコア4-5でリヨンに敗れた。
「もし今季無冠なら、監督である私が責任をとって出て行くしかないだろう」
指揮官スパレッティがタイトル獲得に進退をかけると宣言して臨んだコッパ・イタリア準決勝でも、仇敵ラツィオに通算スコア3-4で敗退した。
セリエAでは開幕から王者ユベントスを追い続けてきたが、先月30日の34節ローマ・ダービーに1-3で完敗。
首位ユーベとの勝ち点差は9となり逆転スクデットが絶望となったばかりか、同日夜にインテルを下した3位ナポリに勝ち点差1と肉薄され、苦境に立たされた。
勝負弱さの原因として考えられるのは、チームのアイデンティティの不足や規律の欠如だが、決定的なのは運動量不足だ。
ローマは、走らない。
プレーの享楽性を優先するあまり、汗をかこうとしないのだ。