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初仕事は「王様トッティへの引導」。
逆境ローマをモンチ新SDが変える!
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2017/05/07 11:30
ローマダービーで醜態をさらしたトッティ。かつてゼロトップで一世を風靡したスパレッティ監督の再登板後、出番を減らしている。
“トッティへ引導を渡す”大仕事をやりとげたモンチ。
33節ペスカーラ戦では途中交代に腹を立てたFWジェコが、監督スパレッティに向かって放送禁止用語を連発。彼の罵倒ぶりを見れば、誰でも指揮官とエースの信頼関係を疑うだろう。
中盤の精神的リーダーであるMFナインゴランは、4月の代表ウィーク中に飲酒運転での免停騒ぎを起こした。免停は母国ベルギー・メディアの誤報だと判明したが、朝方までクラブで夜遊びにふけっていたのは事実らしい。
主将トッティが今年に入ってからリーグ戦に出場したのはわずか8試合で、プレー時間は合計しても100分間のみ。
“カピターノ(=主将)”はいよいよ求心力を失った。トッティが引き際にいるのは、少なくともロマニスタ以外の目には明らかだった。
スペインからやってきた新SDモンチは着任早々、トッティへ引導を渡す、という大仕事をやってのけたのだ。
「我が家たるセビージャを出て、わざわざ何をしにイタリアまで出向いてきたと思う? 私は“勝ち”に来たのだよ」
新SDモンチの言葉は自信に満ちている。
終盤のACミランとユーベ戦で意地を見せられるか。
就任会見では、来季に向けたチーム改革を「指揮官スパレッティの引き留め交渉から始める」とも述べた。
最も期待されるのは移籍市場での目利きだが、国内外からのオファーが確実なMFナインゴランやMFストロートマン、堅守を誇ったDF陣の処遇は熟慮する必要があるだろう。
ただし、シーズン後のチーム再編より、今は手中にある2位を死守することが最優先だ。
残る試合カードには、サン・シーロでのミラン戦と本拠地オリンピコでのユベントス戦というビッグマッチが控えている。
「ローマは野心的なクラブに生まれ変わるんだ。ここからの4試合にわれわれの未来が、CL(直接出場権)がかかっている。何とも刺激的じゃないか!」
王様トッティは去る。
代わりに、ローマへ新たな為政者がやってきた。
新SDモンチが扉を明けたローマの新時代は、ダイナミックな予感に満ちている。