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今季NBAで最高の選手は誰なのか?
MVP投票権を得た日本人記者が解説する。
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGetty Images
posted2017/05/08 07:00
チームはウェスタン・カンファレンス・ファーストラウンドで敗退したが、今季のウェストブルックの個人成績は、NBA史に残る偉大なものだった。
ドク・リバースHCの言葉に背を押されて決断した!
そんなとき、MVPについてドク・リバースHC(ロサンゼルス・クリッパーズ)が「結局は好みの問題だね」と言ったのを聞き、そうか、好みでいいのだと納得し、気持ちが楽になった。単に好きな選手を選ぶということではなく、「選手の何を最も評価するのか」という好みだ。
そう考えたとき、ウェストブルックの、チームを鼓舞し続けるエネルギッシュなプレーや、強烈なリーダーシップこそMVPにふさわしいと思えた。
ケビン・デュラントがFAでいなくなるという絶望的なオフシーズンを送ったサンダーの選手やファンに希望を与え、NBA中をひきつけた魅力。その大きさを考えると、サンダーの成績が6割を切っていることぐらい、たいしたことではないと思えた。それが、ウェストブルックをMVP1位に選んだ理由だ。
MVP 投票/宮地陽子
1位票 ラッセル・ウェストブルック(オクラホマシティ―・サンダー)
2位票 ジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)
3位票 カワイ・レナード(サンアントニオ・スパーズ)
4位票 レブロン・ジェームズ(クリーブランド・キャバリアーズ)
5位票 ステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)
「新人王」は“該当者無し”に近い事態に悩んだ。
MVPが、受賞に値する高いレベルのシーズンを送った選手が多くて迷ったのに対して、新人王は、この選手なら新人王にふさわしいというシーズンを送った選手が見当たらなくて悩んだ。
期待のドラフト1位指名選手、ベン・シモンズ(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)は、シーズン前に足を骨折してシーズン全休。代わりに頭角を現した同じシクサーズのジョエル・エンビードは、デビュー戦から20点・7リバウンドをあげ、その後も安定した活躍で、11月、12月、1月と続けてイースタン・カンファレンス月間新人賞を受賞したが、その後、膝を故障(半月板損傷)して、結局シーズンの半分にも満たない31試合しか出場できなかった。
それでも、出場していた間はオールスター級の活躍をしていただけに、新人王に推す声もあったが、個人的に、彼には投票できなかった。というのも、新人選手たちが最も苦労するのがNBAのシーズンの長さ、スケジュールの厳しさで、どんなに活躍した選手でも、シーズンの途中で調子を落としてくる。あるいは、シーズン序盤にはまったく活躍できなかった選手が終盤になって、NBAに慣れて伸びてくることもある。
そうやってシーズンを通して戦うのが新人にとっての最大のテストだと考えると、怪我とはいえ、31試合にしか出られなかったエンビードは賞にはふさわしくないと考えたのだ。
結果的に、新人王として最後まで迷ったのはシクサーズの3人目の新人、ダリオ・シャリッチと、ミルウォーキー・バックスのマルコム・ブログドン。
シャリッチはエンビードが抜けた後に頭角を現し、特に2月、3月と、エンビードの後を引き継ぐようにイースタン・カンファレンス月間新人賞を受賞している。一方のブログドンは、プレイオフ・チームのバックスにおいて、開幕からローテーション入りし、シーズン途中からはスターターとしてチームの勝利に貢献。
個人的に、新人王はチームの勝利より個々の活躍が判断基準と思っているのだが、ブログドンとシャリッチには個人スタッツでそこまで大きな開きはなく、シーズン通して安定して活躍してきたブログドンを選んだ。
Rookie Of the Year(新人王)投票/宮地陽子
1位票 マルコム・ブログドン(ミルウォーキー・バックス)
2位票 ダリオ・シャリッチ(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)
3位票 ウィリー・エルナンゴメズ(ニューヨーク・ニックス)