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今季NBAで最高の選手は誰なのか?
MVP投票権を得た日本人記者が解説する。
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGetty Images
posted2017/05/08 07:00
チームはウェスタン・カンファレンス・ファーストラウンドで敗退したが、今季のウェストブルックの個人成績は、NBA史に残る偉大なものだった。
「最優秀コーチ賞」はロケッツかヒートか……。
最優秀コーチに選んだのはヒューストン・ロケッツのマイク・ダントーニHC。リーグ中のコーチやスカウトたちが「オフェンスの天才」と評するコーチで、今のように、データによって3Pシュートの価値が認められるようになる前から、3Pを武器とするオフェンス・システムを構築してきた。今のロケッツは、ある意味、その集大成のようなチームにも見える。ヘッドコーチに就いてすぐにジェームズ・ハーデンにポイントガードを任せるという判断を下し、これが成功してハーデンの力とチームの力の両方を最大限に引き出した。
もしマイアミ・ヒートがプレイオフに出ていたら、ヒートのエリック・スポールストラHCに1位票を投じていたかもしれない。
ドウェイン・ウェイドもクリス・ボッシュもいなくなり、前半は11勝30敗と苦戦していたチームを、後半で30勝11敗と躍進させ、シーズン通して41勝41敗の五割にもってきた手腕はすばらしかった。かつて、ジェームズ、ウェイド、ボッシュのビッグ3をまとめてチームを優勝に導いた手腕もすばらしかったが、今シーズンのチームを率いての5割達成はその時と同じくらいの価値がある。スーパースターがいるチームでも、いないチームでも力を引き出せる名将であることを証明した。
Coach Of the Year 最優秀コーチ賞投票/宮地陽子
1位票 マイク・ダントーニ(ヒューストン・ロケッツ)
2位票 グレッグ・ポポビッチ(サンアントニオ・スパーズ)
3位票 エリック・スポールストラ(マイアミ・ヒート)
「最優秀ディフェンス賞」では総合力を評価。
最優秀ディフェンス賞は、ドレイモンド・グリーン(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)とルディ・ゴベール(ユタ・ジャズ)で迷ったが、ポイントガードからセンターまで、どのポジションでも守れるグリーンのオールラウンドなディフェンス力を評価してグリーンに票を投じた。
Defensive Player Of the Year 最優秀ディフェンス賞投票/宮地陽子
1位票 ドレイモンド・グリーン(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)
2位票 ルディ・ゴベール(ユタ・ジャズ)
3位票 カワイ・レナード(サンアントニオ・スパーズ)
「MIP」はリーダーシップと技術の両方を評価。
MIP(Most Improved Player/最成長選手賞)はヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)一択。
他にも成長を見せた選手はいるが、彼はオールラウンドにスタッツを伸ばしただけでなく、リーダーとしてのメンタリティも見せた。それだけ成長しても、さらに伸びしろがありそうに見えるのだから、末恐ろしい。
間違いなく、近い将来のMVP候補。
Most Improved Player 最成長選手賞投票/宮地陽子
1位票 ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)
2位票 オット・ポーター(ワシントン・ウィザーズ)
3位票 ニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)
「シックススマン賞」はウォリアーズを安定させた彼に。
シックススマン賞に選んだのはアンドレ・イグダーラ。ケビン・デュラントを獲得した一方で、選手が入れ替わったゴールデンステイト・ウォリアーズにおいて、イグダーラのシックススマンとしての価値はさらに大きかった。
ディフェンスのストッパーからポイントガードの役割までこなすオールラウンドなイグダーラが控えにいることは、ウォリアーズの戦力を安定させた。
Sixth man Award シックススマン賞投票/宮地陽子
1位票 アンドレ・イグダーラ(ゴールデンステート・ウォリアーズ)
2位票 エリック・ゴードン(ヒューストン・ロケッツ)
3位票 ジェームズ・ジョンソン(マイアミ・ヒート)