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リーチマイケル、代表復帰前の本心。
「ジェイミーはがっかりしたが……」
posted2017/05/07 09:00
text by
村上晃一Koichi Murakami
photograph by
Koichiro Matsui
昨秋の新生ジャパンのメンバー表に、彼の名はなかった。
エディー・ジャパンの主将としてチームを率いた男が、
自らその代表に対する決断を下した理由とは。
今春、代表復帰への意思を固めたと報道されたリーチマイケル。
当時の揺れ動いた心情と、尽きせぬ向上心を語った記事を、
特別にNumber Webにて全文公開いたします。
ラグビー日本代表の新ヘッドコーチ、ジェイミー・ジョセフは、10月28日、32名の日本代表メンバーを発表した。
そこに、昨年までの日本代表キャプテン、リーチマイケルの名前はなかった。記者会見では、ジョセフヘッドコーチが「リーチが辞退したのは残念」とコメント。その理由はさまざまな憶測を呼んだ。
なぜ、彼は辞退したのか。11月12日、ジェイミー・ジャパンはアウェイでジョージア代表に勝利した。この結果をリーチはどう思っているのだろう。数日後、東京都府中市にある東芝ブレイブルーパスのクラブハウスを訪ねた。そこには、全体練習後、一心不乱に筋力トレーニングに打ち込むリーチマイケルの姿があった。
W杯までの長いスパンで考えたら休む時間が欲しかった。
――ジェイミー・ジャパンが初勝利をあげました。感想を聞かせてください。
「嬉しかったですよ。チームにとって大きな自信になる。ジョージアはこれまで戦ったチームの中で最もきつい相手です。FW陣全員がデカく、強い。翌日は体が痛くなる。彼らに勝つと自信になるし、気付くことが多い。エディー・ジャパンのときも、スクラムで押し込まれ、それをベースにして強化したら2015年のワールドカップ(W杯)前の対戦では耐えることができた。今回の勝利は大きいし、スクラムで押されたのも大きい(笑)」
――そこにご自身がいないのは、どんな気分ですか。
「分かっていたことですが、10月28日、ジョセフヘッドコーチが発表した日本代表メンバーに名前がなかったとき、少しさびしかったです。'08年の秋から8年間、ずっと日本代表メンバーでしたから」
――今回、日本代表の活動を休みたいと思った理由を聞かせてください。
「W杯の前年から振り返ると、トップリーグ(TL)があって、スーパーラグビー(SR)でプレー('15年上半期、ニュージーランドのチーフスに所属)。帰国後、パシフィックネーションズカップ(7、8月、カナダ、アメリカ、フィジー、トンガと対戦)、壮行試合、ウォームアップマッチを経てW杯に臨み、すぐにTL、SRと続きました。'16年のチーフスでプレーしているとき、休まないと心身ともにダメになると感じました。でも、6月のスコットランド代表戦だけは出ることになった。そう決めた矢先に怪我をしてしまったのです(右手親指脱臼)。'19年のW杯までの長いスパンで考えたら、この11月しか休む時間はありませんでした」