炎の一筆入魂BACK NUMBER
広島・岡田明丈のマイペース伝説。
2年目に変えたフォーム、不変の芯。
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byKyodo News
posted2017/04/27 07:00
今季初勝利を挙げた対ヤクルト戦での岡田。徐々に安定感が増し、チームメイトからも頼られる投手になりつつある。
昨季は先発、中継ぎ、CS、日本シリーズも経験した。
マイペースな性格がグラウンドで影響したこともある。
初めての昨春キャンプ。サインプレーの練習で頭が整理できていなかったのか単純なミスを繰り返し、野手から厳しい声が上がったこともあった。
だが、プロでシーズンを戦い、先発だけでなく中継ぎでも登板した。クライマックスシリーズ、日本シリーズでも先発を経験した。二軍降格、1回持たず降板……など苦い経験も味わった。
昨季終盤の好投に満足せず、さらなる上積みを求めてシーズン終了後にフォーム矯正を決断。自分が描いたビジョンがしっかり見えていた。
岡田から中村へ伝わる、野球への取り組み方。
春季キャンプ中のキャッチボール。岡田が、パートナーを組む年下の中村祐太に一球一球投げるたびに球の軌道や腕の使い方など細かく指導する姿があった。2人の光景はオフシーズンから始まっていた。1球投げるたびに、投げ方がどうだったのか的確に指摘していた。
聞けば映像で自分のフォームを何度も確認しているため、細かな変化にも気づくようになったという。今では映像ではなく、投げたときに自分のフォームを俯瞰してどうなっていたか感じられるようになってきたという。訓練の賜物だ。
中村祐は「自分から岡田さんにお願いしました。気になっていたことも言ってもらえるのでうれしいです」と喜んでいた。岡田がマイペースを崩したというよりは、いい意味で中村祐を自分のペースに巻き込んだとも言える。
春季キャンプで新フォームの完成度を高め、オープン戦を迎えた。
昨季終盤に先発ローテの一角を担ったとはいえ、結果が求められる立場。だが、岡田は登板ごとに明確なテーマを持ってマウンドに上がった。
まずは「フォームを意識」、そして「真っすぐの切れ」「打者の内角に投げ切る」……など、シーズンを逆算したように段階を上がっていった。