酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
小林誠司が迫る史上最低打率の偉業。
規定打席達成で1割台なら35年ぶり。
posted2017/04/26 17:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
NIKKAN SPORTS
「WBCであんなに活躍したのに、巨人に戻ったら元の木阿弥だ」
巨人ファンの嘆きはよくわかる。
小林誠司は4月24日時点で全19試合に出場して55打数7安打0打点で打率なんと.127。バッテリーを組む菅野智之は昨年54打数12安打3打点、打率.222、今季も6打数2安打の打率.333。これなら菅野を8番にして、小林は9番にしなければならなくなる。
私も頑張ってほしいとは思うが、記録マニアからすれば、小林にはレアな記録への期待がかかるのだ。
それは「打率」に関する記録だ。
昨年、小林は初めて規定打席に達したが398打数81安打の打率.204、断トツの最下位に終わった。
規定打席以上で打率.204は、1999年、中日の中村武志が記録した2割ジャスト(395打数79安打)以来の低打率。21世紀では最低打率だ。
2年連続の「逆打撃王」となるとNPB史上11人目。
昨年、もし小林の安打が2本少なかったら、打率.198、1割台での規定打席入りは1982年、小林の大先輩、巨人、山倉和博の.196(398打数78安打)以来、34年ぶりの“大記録”になったところだ。
また、今季の打率.127は、1938年春シーズンに、イーグルスの山田潔が記録した打率.107(112打数12安打)の最低記録さえ79年ぶりに更新しそうな可能性を感じる。
首位打者のことを「打撃王」というが、その伝でいえば打率最下位は「逆打撃王」とでもいうべきか。
昨年、小林はセ・リーグの「逆打撃王」になったが、2年連続となると2011、2012年の日本ハム、小谷野栄一以来。NPB史上11人目となる。この上には、中日の谷繁元信の3年連続があるだけだ。