欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
ゴールが欲しい時に外されて……。
岡崎慎司がCLで飲み込めなかった事。
posted2017/04/21 07:00
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
AFLO
1カ月前のCLセビージャ戦の2ndレグ。レスターのプレッシングは、憎らしいほど相手を苦しめた。
DFラインが高く、常に数的優位で相手を囲い込む。そして、そのリーダーは岡崎慎司だった。だからこそ試合後に「自分がこういうプレッシングサッカーで輝くということを再確認できた」と胸を張った。そして、珍しく強い口調でこう続けた。
「なんのために頑張っているかと言えば、試合に出るためではなくて、ここで活躍するため。なんだったら今日、点を取ってヒーローになるためにやっている。次のビッグマッチで、自分が頑張ってきた意義が問われる。ワールドカップは4年に1回、3試合しかない。CLもそれと同じだと思う。次にベスト8で結果を出すというのは自分が成し遂げていないことだから。そこに賭けたい」
意気揚々とその特別な舞台に立った。そして、そこで味わったのは、特別な悔しさではなく、欧州に来てからずっと舐め続けている辛酸だった。
得点が欲しい場面で、岡崎はベンチに下げられた。
4月18日、CL準々決勝対アトレティコ・マドリー戦。アウェーでのファーストレグを0-1で落としたレスターは、開始から試合の主導権を握ってアグレッシブな戦いを見せていたが、26分に先制点を許してしまう。前半を0-1で終え、3得点が必要なレスターは、センターバックのベナルアンを下げてチルウェルを投入し、3バックにシステムを変更。先発の岡崎慎司に代わったウジョアは、ロングボールを左右に散らし、好機を演出。61分にバーディーの得点が決まる。
ボール保持率が50パーセントを越えるというレスターにとっては異例の展開となったが、堅守を誇るアトレティコのゴールを割ることができず、1-1のまま試合終了の笛が鳴る。レスターの選手たちは、膝から崩れ落ちるようにピッチに座り込んだ。クラブ史上初めてのCLはベスト8での敗退が決まったが、スタジアムのサポーターからは惜しみない賛辞が贈られる。プレミアリーグでの苦戦をよそに、グループリーグも含めてホームで負けることはなかった。