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ゴールが欲しい時に外されて……。
岡崎慎司がCLで飲み込めなかった事。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byAFLO
posted2017/04/21 07:00
テレビのCMでも、岡崎慎司は初めて出場するCLへの高揚感をあらわにしていた。初めての喪失感の中で、今何を思うのか。
岡崎「戦術的な交代だとわかっていても……」
「最後、あれが決まっていればというようなシュートもあったし、ベンチから見ていて、興奮するところもあった。これがレスターのすごさという感じで……。まあ、なんで、自分があそこに立っていないんだろうという気持ちはありましたけど」
ドーピング検査を終えて、試合終了から1時間余り経ってからミックスゾーンに姿を見せた岡崎慎司が語る。
「自分のチーム内での立ち位置を改めて感じますね。(3バックとなった)あのフォーメーションだったら、自分もセカンドボールを拾えただろうし、シュートのチャンスもあったはず。でも、僕はそこでの仕事を認められていないんだなと。レスターではこういう経験を何度もしている。戦術的な交代だと分かっていても、それを受け入れられない部分もある」
そして、こうも話した。
「チームがゴールを取りたいときに、交代させられる。チームが勝ちたいと思って、戦術を変えたとき、そこに自分が入っていないとか、やっぱり悔しいというか……。自分が(ゴールを)決めてこなかったというのもあるけれど、レスターでやって、悔しいことしかない。それをどうにかしたい。その答えは今はまだわからないですけど、がむしゃらでもなんでもいいから、答えを見つけて、もっと信頼される選手になりたい」
岡崎がレスター復活の象徴であることは間違いない。
1stレグでも、岡崎は前半だけで交代している。ラニエリ解任後、シェークスピア監督のもとで前線からのプレッシングを取り戻して連勝を続けたレスターだったが、この日はそれができなかった。選手たちの疲労度を考慮した指揮官は、岡崎をさげて1トップに変更し、中盤に厚みをもたせることを選択した。その結果、敵地での試合を0-1で終えることに成功する。
奇跡のプレミア優勝から一転、残留争いに巻き込まれた今季のレスターで先発の座を失っていた岡崎は、新監督もとで先発に復帰し、レスター復活の象徴でもあった。彼のプレスが守備のスイッチを入れる。ボールを奪えば、岡崎に預けることで、攻撃がスタートする。チームに安定感をもたらす岡崎を先発としてピッチに立たせる意味は大きい。しかし、失点して追いかける状況になると、一番に変更される駒もまた岡崎だった。