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ディープ以来の無敗皐月賞馬は牝馬!?
ファンディーナは素質だけで3連勝中。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2017/04/15 09:00
フラワーカップからのレース間隔の問題で桜花賞を回避して皐月賞に参戦してきたファンディーナ。
今はまだ素質だけで走っている状態。
管理する高野友和調教師によると、馬体の成長はまだこれからなので、過去3戦は素質だけで走ってきたようなものだという。普段はおとなしくて扱いやすいのに、レースに行くと凄まじい爆発力を発揮する。競走馬として理想的なハートを持ったこの馬を、高野調教師は「つねに冷静な馬です」と、まるで古馬の王者に対するかのような言葉で評している。
大きなストライドは、10年前の2007年、64年ぶり3頭目の牝馬のダービー馬となったウオッカを彷彿させ、距離が延びるとさらに威力を発揮しそうだ。顔だちに気品があり、身のこなしがエレガントなところもウオッカに重なる。
牡馬が57キロを背負うのに対し、2キロ軽い55キロで出られることも大きい。今振り返ると、あのメンバーでウオッカだけが55キロだったのだから、3馬身突き抜けて当然だったという感じがするが、この皐月賞も同様のレースになるかもしれない。
一線級とは当たっていないが、着差が強さを物語る。
しいて死角を探すなら、これまで一線級の相手とは戦っていないことか。また、ハイペースで出入りの激しいレースや、揉まれる競馬を経験していないことも、不安材料と言えるかもしれない。
しかし、強いメンバーとやっていないとはいえ、あれだけブッちぎって、別次元のところを走ってきたのだから、あまり気にする必要はない。相手が弱くても、離して勝ってきた馬の場合は、強い相手との接戦をモノにしてきたのと同等の価値があると見ていい。
また、流れが速くなったらなったで、折り合いがつきやすくなり、もっとすごいレースができるかもしれない。揉まれそうになったら、馬群から早めに抜け出てハナに立てばいいだけだから、それも問題ないだろう。
唯一不安点があるとしたら、先週、死角なしと思われたソウルスターリングが3着に敗れたように、難しい3歳春の牝馬である、ということだけだ。しかし、それを言い出すと馬券を買うことができないので、高野調教師をはじめとする陣営の手腕を信頼するしかない。