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世界7位で男子カーリングが平昌へ。
今大会の成績が五輪に直結する理由。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAFLO
posted2017/04/11 08:00
スキップは、常にチームの命運を握って2つのストーンを投じる。両角友佑にかかるプレッシャーはただ事ではない。
各チームの条件が揃い、実力が反映される環境に。
・ストーンを投げる技術
・チームとしてのスウィープ力(昨季はひとりしかスウィープしていないチームが多かった)
・チームとしての戦略性、判断力
そもそもカーリングの本来の姿とは、これらの要素によって競われるべきだ。
ブルームゲート論争を経て、今季はパッド部分の素材の統一(色も黄色に指定)が行われ、道具による違いはなくなり、「イコール・コンディション」が担保された。
SC軽井沢クラブの場合、今年の世界選手権で上位に入れば、昨季の実績がフロックでないことが証明でき、なおかつオリンピックの出場権が取れるという重要な位置づけの大会だったのである。
日本のショット成功率は80%を超えたが……。
上位に入ったアメリカ、スイスと好勝負を繰り広げるなど、SC軽井沢は世界に通じる力があることを証明した。惜しむらくはタイブレークに進出したかったが、あと3勝足りなかった。
星取表を見ると、下位のチームには取りこぼしがない。地力がアップしている証拠だ。しかし番狂わせを起こせず、序盤にいい形を作りながらも、ビッグエンドに持っていけなかった試合もあった。
中身を吟味していくと、日本はショットの精度を表す成功率(英語ではcumulative percentage 、直訳すれば「累積的パーセンテージ」)が、81%で8位。
第4戦のスウェーデン戦からは80%以上の精度を保ち、カナダ戦では85%と高い数字をマークしたが、なんとカナダはこの試合で95%の数字をたたき出していた。
今大会、カナダは全勝で優勝したが、グループ戦で成功率が80%台だったのは、2試合だけで、あとは90%以上。突出したチーム力を持っている(同等のレベルを持つクラブが、国内に複数ある)。