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世界7位で男子カーリングが平昌へ。
今大会の成績が五輪に直結する理由。
posted2017/04/11 08:00
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
AFLO
日本でカーリングといえば、女子のスポーツというイメージが強かったが、カナダ・エドモントンで行われた男子世界選手権で、日本代表のSC軽井沢クラブが5勝6敗の成績で7位に入り、昨年の結果と合わせたオリンピック・ポイントの合算で4位となって、平昌オリンピックの出場が決まった。
日本がカーリングのオリンピックに登場するのは、1998年の長野オリンピック以来、実に20年ぶりのこととなる。
長野大会はカーリングが正式競技に採用された最初の大会だったが、日本は開催国としての出場であり、平昌大会は実力で勝ち取った初のオリンピックということになる。
昨年カーリング界はブラシ騒動が起こっていた。
今回の世界選手権で、SC軽井沢クラブは世界で上位に入る力を十分に示せたと思う。実は今大会の結果が極めて重要だった。
なぜなら、昨季(2015~2016年シーズン)の成績は、世界のカーリングでは「アスタリスク」、注意書きがつくと言われているからだ(特にカナダのメディア)。
昨季はブラシ(ブルーム)の先端部についているパッドの素材(ファブリック)に革命が起きた。カルガリー・カーリング・クラブのメンバーの証言によれば、
「サンドペーパーと同じような機能があると思います」
という。どういうことか?
つまり、パッドが氷を削ってストーンが通る道を作り、スウィーパーの思い通りの場所にストーンを持っていくことが出来るようになったのだ。
この強力なパッドが登場したことで、カナダでは、削る機能のあるパッドを使うか否かという「ブルームゲート」論争が起きた。
同じような事例が他の競技でもあった。
競泳の「レーザーレーサー問題」である。特定のメーカーが絶対的なアドバンテージのある水着を開発したことで、泳力ではない要素が競争に入り込んだ時期があった。当然のことながら、水着素材は統一されることになった。