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木村沙織は天才で、練習の虫だった。
独自に編み出してきた練習法の数々。 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byNoriko Yonemushi

posted2017/03/29 11:10

木村沙織は天才で、練習の虫だった。独自に編み出してきた練習法の数々。<Number Web> photograph by Noriko Yonemushi

「スーパー女子高生」と呼ばれたデビュー以来、日本女子バレー界の中心にはいつも木村沙織がいた。彼女の後を継ぐのは誰になるのか。

天才なのは間違いない。しかし同時に練習の虫だった。

「自分にはいくらでも厳しくできる」と話した通り、木村は職人気質な練習の虫だった。

 木村と同じ下北沢成徳中学・高校の後輩で、全日本に招集されたこともあるセッターの冨永こよみ(上尾メディックス)は、印象に残っている木村の姿をこう回想した。

「皆さんがテレビで見ているイメージそのままの、天才だなと思うところがたくさんある選手ですが、全日本で一緒にやらせていただいた時、1人で黙々と自主練習をされている姿を見て、沙織さんはセンスももちろんあるけど、本当に長い間努力をされている方なんだなと感じました」

 木村は個人練習を非常に大事にしていた。それもただ長時間、本数を多くこなしていたわけではなく、そこには木村独自の工夫があった。

 例えばサーブレシーブの個人練習をする時には、8本を1セットにして、それを試合に見立てて5セット分行った。8本というのは木村が全日本の試合で1セット当たりに取るサーブレシーブの平均本数。チームとして70%以上の返球率を目指していたため、「8本中6本返せたらクリア」という目標を自分で設定し、1球1球ホワイトボードに記録をつけながら練習した。さらに、試合のローテーションを想定して位置取りも変えていくというこだわりようだった。

「ただ長くやるというのは嫌だし、試合の時のようなプレッシャーがかかるやり方はないかなーと思って考えました。ホワイトボードに書きながら5セット分やっていくと、例えば、『私は2セット目くらいからよくなっていくな』とか、『1セット目は1本目が返ったらそのあとポンポン返るな』とか、自分の傾向も見えてくるんです」

1本ごとに走ってサーブを打つ練習。

 眞鍋政義前監督のもとで全日本のメンタルトレーナーを務めていた渡辺英児氏は、「彼女はそういうことを、誰かに言われなくても自分でパッとできる。アスリートとしてのインテリジェンスが非常に高い選手です」と語っていた。

 またサーブ練習では、1本打って、走ってからまたすぐ打つ、という練習を1人で繰り返した。

「ラリーになると、息を切らした状態でそのあとサーブを打たなきゃいけないこともあるから」と、わざと心拍数が上がった状態を作り出してサーブを打っていたのだ。

 バレー脳に優れ、日頃から常に試合につながる練習を意識していたからこそ、試合でとっさに相手の隙をつくようなクレバーなプレーができたのだろう。

【次ページ】 レシーブのために取り入れたルーティン。

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