スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
WBCとオランダ内野陣。
中心は、イチローの記録に迫った男。
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2017/03/04 11:00
2011年のIBAF(国際野球連盟)主催の野球W杯でオランダ代表として優勝したボガーツ。その栄誉を称え、オランダから「サー」の爵位が贈られている。
有望な若手が多いのは魅力なのだが……全員遊撃手。
ボガーツ以外にも有望な若手は多い。
190センチ、92キロのディディ・グレゴリアス(ヤンキース)と、守備の名手アンドレルトン・シモンズ(エンジェルス)は、どちらも27歳だ。
グレゴリアスは、2年連続で500打数以上を記録し、本塁打数もここ2年で9本から20本へと飛躍した。シモンズのほうは、ブレーヴス在籍時の'13年、'14年に2年連続でゴールドグラヴに輝いている。
ただ問題は、いま挙げた3人の定位置がそろって遊撃手であることだ。
オランダ内野陣は、今回のWBCでも屈指の充実度である。
シモンズの守備力を重視すれば、ボガーツが三塁に、グレゴリアスが二塁にまわることになるだろう。ボガーツの三塁は何度か見ているが、グレゴリアスの二塁は記憶にない。
これはやや不安だが、本職の二塁手としては、25歳のジョナサン・スコープ(オリオールズ)が控えている。'16年に25本塁打を記録した長打力が持ち味なだけに、シモンズを控えにまわし、グレゴリアスに遊撃を任せる手もある。
あるいは、三塁=スコープ、遊撃=ボガーツ、二塁=グレゴリアスと攻撃的布陣を組み立てることも可能だろう。
さらにもうひとり、内野ならどこでもこなせるジェリクソン・プローファー(レンジャーズ)という24歳の若手も貴重な存在だ。
つまりオランダの内野陣は、参加チーム中トップレベルにあるといっても過言ではない。投手陣がいまひとつ大舞台を知らないのは不安材料だが、打ち合いになれば今回のオランダは相当に手ごわい。2次ラウンドで日本が苦しむとしたら、この国が勝ち上がってきたときではないか。