スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
WBCとオランダ内野陣。
中心は、イチローの記録に迫った男。
posted2017/03/04 11:00
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
Getty Images
すぐにも開幕というのに、2017年WBCの人気がいまひとつ盛り上がらない。わかりきったことだが、大リーグのビッグネームが本気を出していないからだ。
本気を出すには本調子の肉体が必要だが、3月初めではやはりむずかしいだろう。ビッグネームの選手たちは、当然、9月(もしくは10月)までの長丁場を見据えている。この時期からロケット・スタートで飛ばしたりしたら、かならずツケがたまる。一流のプロなら、そんな事態は断じて避けたい。
が、有望株の若手や、蒔き直しを図るヴェテランの場合は話がちがう。彼らにとってWBCは絶好のショーケースだ。腐っても世界大会、ここで活躍すれば、どこからどんな声がかからないとも限らない。
たとえば、1次ラウンドで最も面白そうなのはソウルで開かれるプールAだ。
イチローの記録に迫ろうかという勢いだったボガーツ。
ここには、韓国と台湾以外に、オランダとイスラエルが入っている。オランダは2013年のWBC2次ラウンドでキューバを破り、準決勝まで進出した。
2017年大会でも、注目すべきメンバーが顔を並べている。とくに内野は強力だ。
筆頭に挙げられるのは、やはりザンダー・ボガーツ(レッドソックス)だろう。
ボガーツは、'15年、'16年と2年連続でシルヴァー・スラッガー賞に輝いた。安打数も196本と192本。'16年は、後半戦こそやや失速したものの、一時はイチローの持つ年間最多安打に迫ろうかという勢いだった。本塁打の数も、'15年の7本を'16年には21本に伸ばした。
まだ24歳の若さだから、順調に行けばやがて大リーグを背負う選手になるだろう。