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川崎に縁遠かった“勝負強さ”が!?
攻撃が未完成でも勝利した開幕戦。
posted2017/02/28 11:30
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
J1リーグ開幕戦、川崎フロンターレが昨年と違った“顔”を見せてくれた。
内容的に一方的に攻めまくる川崎「らしさ」はあまりなかったが、大宮アルディージャに2-0で完勝したのだ。
これまでの川崎は、いいサッカーをしても勝てないことが多々あった。
タイトルを獲れないことが、その印象をより鮮明にしていた。同時に大事な試合や取りこぼしをしてはいけない試合を落としてしまう「勝負弱さ」も指摘されてきた。
しかし大宮戦で、これまでとは違う川崎を見せたのだ。
中村憲剛は、言う。
「内容的にバンザイできるものじゃないけど、セットプレーで1点を取って、守って、時間を使って、隙を突いていく。こういう戦い方も必要になってくる。そこで負け、引き分けじゃなく、しっかり2-0で勝つことが新チームには大事なことだと思う」
どんなに強いチームでも、シーズンを通して毎回いい内容で勝てるわけではない。
優勝するチームは、大宮戦のように内容が悪くてもセットプレーで1点を取って、しっかりと勝ち点3を重ねていく。川崎というチームスタイルからはちょっと縁遠かった「したたかさ」みたいなものが見えてきたし、雰囲気的には広島でペトロヴィッチ監督が指導した後、森保一監督になって守備力を高めてタイトルを獲った時と似ている感じもする。
大久保嘉人が抜けた攻撃陣はまだ種火状態。
その一方で、川崎の看板である攻撃力が発火しない。中村、小林悠、家長昭博、阿部浩之の新たな攻撃のユニットは、まだ種火状態だ。
大宮戦で今シーズン2試合目になるが、ACLの水原三星戦は、1トップに小林、トップ下に家長、左に中村、右に阿部。大宮戦は1トップに家長、トップ下に中村、左に阿部、右に小林だった。昨年のユニットから2人が入れ替わり、この2試合だけでも、全員ポジションが違う。
鬼木達監督は、それぞれどこが一番フィットするのか見極めながらポジションを試しているが、まだ最適解は見つかっていない。特に移籍組の選手は、毎回ポジションが変わるので、どう動くかを考え過ぎてプレーがこぢんまりとしている。