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フランス2部の最優秀監督は女性!
コリンヌ・ディアクル、不屈の魂。
text by
フランク・シモンFrank Simon
photograph byALEX MARTIN/L'EQUIPE
posted2017/02/06 11:00
監督就任時、クラブ側と単年契約ではなく2年契約を交わしたというディアクル。3年目の今季も、チームは好調をキープしている。
就任前よりもクラブをずっと強くしたという実績。
同じくフランス元代表で、男子チームのコーチ資格を持つ女性のひとりであるエリザベート・ロワゼル(53歳)は、好意的な視線をディアクルに投げかけている。
「彼女の成功に驚きはない。選手として高いレベルの経験をしているのに加え、3つのチャレンジに挑んでいる。
ひとつは極めて閉じた世界の中に女性として自分の居場所を確保すること。
ふたつ目は監督としての立場を確立すること。
そして3つ目が、これまで女子の指導しかしたことがないにもかかわらず、男子に囲まれながらそこで自分の地位を確立すること。
彼女は見事なまでにそれらを成し遂げた」
実際、2014年9月12日のルアーブル戦で、第6節目にしてリーグ戦初勝利(1対0)をあげると、このシーズンを12位で終えた。これは2012年以来の好成績であり、続く'15~'16年シーズンはトップ3まであと一歩と迫る7位にまでチームを躍進させた。『フランス・フットボール』誌が2015年のリーグ2最優秀監督に彼女を選んだのも当然の結果といえた。
「コリンヌが成功したのは、監督としての能力が高いから」とロワゼルはいう。
「当初それは期待されていなかったし、二次的なことだった。女性であることが彼女の目玉だったけど、今は誰もそれを言わないし、好奇の目を向けない。この世界の風景の中に完全に溶け込んでいる。後に続くものがこれから出てくるでしょう」
女子1部で唯一の女性監督も、男子サッカーを目指す。
実際、彼女が開拓した道を辿りたいと願っているものたちがいる。
数はまだ多くはないが、フランス女子1部リーグ唯一の女性監督であるギャンガンのサラ・ムバラクはそのひとりである。彼女はいう。
「ココ(ディアクルの愛称)の動向には最初から注目していた。彼女の成功は、そのパーソナリティとキャラクターによるところが大きい。本当に働きものなのよ。
それからマッチョな世界で彼女を選ぶなんて、クレルモンの会長には先見の明があった。
私も彼女のように男子のベンチに座りたいとずっと思っている。スタッフのひとりになりたい。ここギャンガンでも、扉は閉ざされていないと信じている」