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五輪競技ボルダリングに新風が!
決勝進出6人中3人が中学生の衝撃。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2017/02/02 08:00
ジャパンカップで圧巻の登りぶりを見せた伊藤。東京五輪開幕時点でも10代という若さである。
スーパー中学生の伊藤は準決勝こそ緊張したが……。
しかしボルダリングは中学生が主役となって優勝を争い、まさに群雄割拠の戦国時代となっている。それを象徴するかのようにジャパンカップ通算11回の出場で、10回優勝していた野口が2位に終わり、また男子は藤井快が同大会初の連覇を達成するなど、異変が起きた。
今回、14歳ながらジャパンカップを初制覇した伊藤は「スーパー中学生」の1人で予選から安定していた。だが、20人中上位6人が決勝に進める準決勝では「あまり調子が良くなかった」という。
「すごく緊張してしまい、硬い登りになってしまいました」
準決勝後も決勝に向けて緊張し続けていたが、父から「決勝は楽しんでやってこい」と言われて気持ちを切り替えることができた。
第一人者・野口啓代とは姉妹のような関係性。
決勝は4つの課題があったが、伊藤だけが1から3までの課題を連続で完登した。
「緊張せず、ノビノビとした登りができたのがよかったかなと思います。今まで野口さんに勝てなかったんですが、勝てて自信になりました」
ボルダリングを始めたのは小学3年生、9歳の時だった。父親の趣味だったが、一緒についていくうちにのめり込んでしまったという。それからわずか5年で日本のトップに立ったということなのだから驚きだ。
その時から野口は目標になった。ビデオを何度も見て登り方をマネして、強く、女性としても輝く姿に憧れた。
数年前からお互いの家を行き来し、一緒に練習をする仲になった。
野口は、伊藤を「妹」のような存在としてとらえている。
「普段から連絡を取り合っていて、二人でいる時は毎日ひたすら登っています。それが一番楽しいので。それ以外の時間は『彼氏できたの?』とか『学校どう?』とか、女子っぽい話もしています」