オリンピックPRESSBACK NUMBER
五輪競技ボルダリングに新風が!
決勝進出6人中3人が中学生の衝撃。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2017/02/02 08:00
ジャパンカップで圧巻の登りぶりを見せた伊藤。東京五輪開幕時点でも10代という若さである。
なぜ「スーパー中学生」が登場したのか?
第一人者の野口は、伊藤や森ら「スーパー中学生」の活躍をこう分析する。
「クライミングは力だけじゃないんですが、どうして力任せになる部分があるんです。でも彼女たちはテクニックがあり、軽さもうまく利用して大人と違った強みを生かしている。それにプラス今回の壁が傾斜がそんなになく、パワフルというよりも繊細でバランス的な課題が多かったので若い子たちの活躍が目立ったのかなと思います」
壁の傾向は、その大会ごとに違う。
今回は、若い選手にもフィットし、トライしやすい壁というところもあった。だが、野口は決して彼女たちの力を甘くみているわけではない。
「今大会が始まる前からふたば(伊藤)ちゃんを始め、秋彩(森)ちゃん、花(工藤)ちゃんが強くて、決勝に絡んでくるという予想はしていたので、びっくりはしていません。彼女たちはワールドカップに出ていないだけでユースや国内の大会で上位にいますから。本当に強い人が決勝に残ったなと思いますし、自分は今回負けてしまったのでもっと総合的にどんな課題でも対応できるようになりたいと思っています」
今大会、「スーパー中学生」が表舞台に現れた。彼女たちの活躍に刺激を受けてボルダリングを始めたり、上位を狙う小学生や中学生がさらに出てくる可能性もある。
14歳・伊藤の優勝は、ボルダリングの世界に新しい風を吹かせたのだ。