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「彼は日本のベッケンバウアーだよ」
長谷部誠が戦術理解でリベロ開眼! 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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posted2017/01/20 11:00

「彼は日本のベッケンバウアーだよ」長谷部誠が戦術理解でリベロ開眼!<Number Web> photograph by AFLO

多くのポジション経験を持つ長谷部誠(GKも!)が、今度はリベロでも適性を発揮している。その戦術理解力は底が知れない。

相手を徹底的に分析する監督と長谷部は好相性?

「ただ……」と間を置いてから、長谷部はこう続けた。

「自分たちもCLやELを目指していますし、実際に今はそういう順位にいるので。調子の良いチームと、しかもアウェーでやれる。そして、そこに向けての準備期間がかなりありますから。良い準備をして、しっかりとピッチに立っていたいなと思いますね」

 相手チームの特長を徹底的に分析したうえで、戦い方を選手たちに植え付けるコバチ監督にとっても、この大一番は腕の見せ所である。

 そんなコバチ監督のもとで、長谷部は実に楽しそうにプレーしている。

戦術を変えながらのプレーは「勉強になる」。

 12月のこと、ホームにホッフェンハイムを迎えてのナイトゲームが行なわれた。現時点ではヨーロッパ主要リーグで唯一、無敗を続けているホッフェンハイムは、まだ29歳という気鋭の戦術家ナーゲルスマン監督のもとで攻撃的なサッカーを見せている。そんな相手との試合とスコアレスドローを演じたあと、長谷部はこう言ってのけた。

「ホッフェンハイムは2トップにボールをあて、そこから落として2列目、3列目から選手が走ってくる。そういうところは、かなり研究していた。3列目から飛び出してくる選手に対して自分がついていったりとか、今日はそこでやられた部分はそこまでなかったと思う。相手もかなり戦術的にかなりしっかりやっていますけど、うちも今週1週間は(練習を)ずっと非公開にしてやるくらいですから、戦術的にはかなりやっていて。お互いに若い監督の対戦でしたけど、選手としても非常に勉強になりますね」

 スコアレスドローという、サッカーの世界ではともすれば“つまらない”と言われがちな試合については、こんな風にとらえていた。

「見ている人たちからすれば、そこまでチャンスが多くなくて、得点も入らずにちょっと面白味にかけたかもしれないですけど、しまった試合というのはこういう試合のことだと思いますし。お互いに戦術的にかなり高いレベルでやっているので。サッカーをわかる人というか、サッカーにコアな人は、こういうゲームは見ていて面白いのかもしれないですしね。特に、現代のサッカーは3バックにしたりとか、戦術をかなり変えてやっている。そういうなかで、自分も色々なことを勉強してやれているなというのは感じていますね」

【次ページ】 「目立つ選手」になりつつある長谷部。

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