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「彼は日本のベッケンバウアーだよ」
長谷部誠が戦術理解でリベロ開眼!
posted2017/01/20 11:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
AFLO
「過去2シーズンでリーグ戦68試合中64試合に先発したハセベは、残念ながらサブになった。この32歳の選手がレギュラーポジションを失う状況がさしせまっていることを示す、明らかな合図だ」
そう『キッカー』誌が辛らつに伝えたのは、今シーズン開幕直前のことだった。シーズン最初の公式戦となったドイツ杯1回戦で、長谷部誠がスタメンから外れたからだ。
そんな報道を受けて、どう感じていたのか。開幕の少しあと、長谷部はこう答えている。
「新しい選手も入ってきたし、チームで競争があるのは当たり前なので。それは今までもそうで。ヴォルフスブルクにいたときにも、最終的にはポジションを勝ち取ってきましたからね。初戦に出られなかったからといって、個人的には焦りはなかったです」
そして、こうも付け加えた。
「結局、どちらかというと僕は、チームを勝たせるというより、チームのウィークポイントを補うような選手で、そんなに目立たないので。そういう意味では、“評価の難しい”選手だと思うんです」
「彼は日本のベッケンバウアーだよ」
しかしどうやら、長谷部の言葉は間違っていたようだ。
もちろん、ポジションを勝ち取れるという自負は正しかった。
一方で、評価の難しい選手というのは間違いだった。そんなイメージは、すでに変わりつつある。
「ハセベは、年齢を重ねてからリベロとしてプレーしたローター・マテウスを思い出させるんだ」
賞賛の声をあげるのはニコ・コバチ監督だ。あるいは、ヒュブナーSD(スポーツディレクター)はこんな例えをしている。
「彼は日本のベッケンバウアーだよ」
いまの長谷部は、ドイツサッカー界のレジェンドであり、「リベロ」というポジションを確立したベッケンバウアーや、W杯最多試合出場の記録を持つマテウスに例えられる立場にある。