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「松坂世代」生き残りは18人――。
西武・渡辺直人、衰えぬ闘争心。 

text by

市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2016/12/30 11:00

「松坂世代」生き残りは18人――。西武・渡辺直人、衰えぬ闘争心。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

西武移籍4年目の今季は、8月18日のソフトバンク戦で通算1000試合出場を達成した。

主将の浅村には「もっと引っ張ってほしい」。

「具体的に何を言ったかは照れくさいので内緒です、ハハ。でも、冗談交じりに自覚を促すようなことを言ったときもありました。『浅村はチームの中心になっていく人間なんだから』とか『もっと引っ張ってほしい』とは言いましたね。

 そんな会話の中で、じゃあ、どうしたらそういう選手になれるのかと話題が膨らむじゃないですか。そこで『もっとこうしたら』と具体的な話をしたことはあります。誰がどう見ても、浅村はライオンズの中心になっていくべき選手。それは自覚してほしかった」

 渡辺の言葉が序盤、打撃不振で苦しんでいた浅村にとっては視野を広げる貴重な一言になった。

積み重ねが責任感になって自分に戻ってくる。

 ピンチを迎えたピッチャーが、マウンドで孤立する試合が目立った序盤に比べ、後半戦は同じような戦況で、浅村が積極的に声をかけに行くシーンが増えた。

「小さなことですけど、ああいう場面は、行かなくてもいいと言われれば、いい。自分のプレーに徹すれば、それはそれでいいんですよね。でも、誰かのために、チームのために動くのは、いずれ、その積み重ねが責任感になって自分に戻ってきます。自分にも経験があるんですけど、ああいうときってなかなか動けないものなんです。

 ピッチャーのピンチは、チームのピンチでもある。ピッチャーだけではなく、誰もがピンチだと感じているので、緊張もするし、視野が狭くなる。みんな気持ちは同じなんですよ」

 その、張り詰めた空気の中、冷静に戦況を見て、味方の心理状態を見極め、試合の流れを読む力は、すべて経験によって培われると渡辺は話す。

【次ページ】 投手に声をかけるタイミングは試合を重ねて覚える。

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