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「ユベントスの倒し方はわかった」
鉄壁の守備陣についに衰えが……。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2016/12/14 11:00
(左から)ボヌッチ、キエッリーニ、バルザーリはユベントスと代表を支える不動のDFトリオ。この鉄壁の「BBC」にヒビが入り始めた。
ユベントス自慢の守備陣が次々離脱し……。
ジェノア戦では、別の大きな問題がより顕在化した。過去5年にわたって鉄壁を誇った守備陣が、ついに“金属疲労”を起こし始めたのだ。
3バックの大黒柱DFボヌッチが「交代させてくれ」とベンチへジェスチャーを送ったのは前半33分だった。彼が左太腿の肉離れで全治2カ月の長期離脱に追い込まれたことで、ユーベは自慢だった“BBCトリオ”最後の砦をグラウンドから失った。
DFボヌッチにDFバルザーリとDFキエッリーニを加えたセンターバック3人衆は、守護神ブッフォンと並んでスクデット5連覇の重要な原動力だった。
イタリア代表でもそのままユニットを組む彼らは昨夏のEURO2016でも激闘を繰り広げた。そして今シーズンが始まった後、3人の肉体は次々に悲鳴を上げた。
DFキエッリーニは左右両脚に2度筋肉故障を起こし、一応復帰はしたが騙し騙しのプレーが続いている。35歳のベテランCBバルザーリは先月初旬のキエーボ戦で左肩を脱臼し復帰は来年1月の見込みだ。
長くトップレベルを維持してきた鉄人たる彼らにも、積年の疲労が蓄積していないはずがない。
ユーベが11月末までに消化した今季国内外19試合のうち、彼らは最初の11試合を5失点で乗り切ったが、残りの8試合では昇格組ペスカーラ戦を除くすべての試合で完封に失敗した。
イタリア代表のユーベ組がミスを連発している!?
勝ち点を伸ばしているため、あまり問題視されていないが、実はイタリア代表でのユーベ組は今秋からのロシアW杯予選で信じられないミスを連発している。
DFキエッリーニは9月のイスラエル戦で失点に繋がる単純なマークミスを犯し、55分に2枚目の警告で退場した。10月のスペイン戦では、GKブッフォンが相手のスルーパスをクリアしようと飛び出し、ゴールを空っぽにした状態でまさかの空振りをしでかし、失点を喫した。
セーブの安定感が薄れ、衰えを隠せない主将は、発言をめぐる炎上騒動にも巻き込まれている。
11月初旬、有力スポーツ紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』が、「主将ブッフォンはナポリ戦後のロッカールームで『国内での対戦相手は道を開けてくれる(ほど簡単に勝たせてくれる)が、欧州の舞台ではそうはいかない』と発言した」と報道した。
八百長を勘ぐられることを極端に嫌うユーベ上層部は「事実無根の誤報」と憤慨。『ガゼッタ』紙を取材拒否し、同紙も紙面で応戦し記者協会を巻き込んで抗議声明を出すなど異例の騒ぎに。今も「国内リーグを侮りすぎではないか」、「驕りだ」という批判はくすぶり続けている。