セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
「ユベントスの倒し方はわかった」
鉄壁の守備陣についに衰えが……。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2016/12/14 11:00
(左から)ボヌッチ、キエッリーニ、バルザーリはユベントスと代表を支える不動のDFトリオ。この鉄壁の「BBC」にヒビが入り始めた。
「ユベントスの倒し方はわかった」
国内軽視のメンタリティやモチベーションの改善は、CLが再開する来年まで一旦棚上げできるが、冬の移籍市場ではDFと中盤の補強が急務になるだろう。
“ジェノア・ショック”の後、負けを引きずらなかったことはタイトルへの必要条件として評価できる。諍いのあった『ガゼッタ』紙もまた「ユベントスとは“働きアリ”のことである。ゴールと享楽の前にまず勤労と汗を尊ぶ」と王者の再起を潔く称えた。
それでも、ジェノアの監督ユリッチが大金星を上げた後に語った言葉は不気味な説得力を帯びる。
「(負ける可能性が高い)ユーベ戦は『死に方を選べ』と言われているのとほぼ同義だ。だが、彼らとて試合へのアプローチを誤ることがある。ユベントスの倒し方はわかった」
ダービーで敗れはしたが、トリノの闘将ミハイロビッチもまた「(イグアインが2点目を入れた)82分まで、うちは掛け値なしにユーベと互角だった」と訴えた。負けた悔しさよりも“もはやユーベは恐るるに足らず”という手応えを得たのは間違いなかった。
次の刺客はローマとミラン……耐えられるか?
カルチョ界の大御所たるサッキやカペッロは「今年も優勝するのはユベントス。地力がちがう」とスクデット6連覇を予想するが、CL決勝トーナメントも熟慮しなければならない立場にいるアッレグリは、確実に国内のユーベ包囲網が狭まっているのを鋭敏に感じ取っているにちがいない。
難カード続きのユベントスが年内に残す試合では、軽視するどころかよりによって順位表のすぐ下から突き上げてくるローマとミランが相手だ。
17日にローマとセリエA17節を戦った後、6日後には中東ドーハでミランとのイタリア・スーパー杯が待っている。
年の瀬の連戦で王者のヒビは拡がるか、それとも持ち堪える術を見出すか。冒頭に掲げた智将の自画自賛は、実は強がりのようにも思えてくる。