セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
「ユベントスの倒し方はわかった」
鉄壁の守備陣についに衰えが……。
posted2016/12/14 11:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO
「クリスマス前のこの時期にこれ以上は何も望めんよ」
ユベントスの指揮官アッレグリが自画自賛するのも無理はない。
何しろ彼らは16節を終えたセリエAで堂々の首位を堅持し、CLでもグループリーグ1位突破を決めたばかりだ。
しかし、今季のユーベの戦いぶりをつぶさに観察すれば、綻びの萌芽をあちこちに見出すことができる。今はまだ微細でも、鉄壁のユーベを崩落させかねない最初のヒビはすでに刻まれているのだ。
先月末、ユベントスがジェノバでの14節で喫した黒星は、カンピオナートに大きな衝撃を与えた。
ただの1敗ではない。
補強に1億ユーロをつぎ込めるミランやインテルではなく、あくまで地方クラブに過ぎないジェノアに終始圧倒された1-3の大惨敗だった。
ジェノア戦大敗はCLの余波が原因か。
5連覇チームの選手たちはデュエルでことごとく競り負け、21歳の相手FWシメオネから立て続けにゴールを割られた上にオウンゴールまで献上。前半だけで喫した3失点は11年ぶりという失態だった。
敗因はCLのツケに他ならない。
ユベントスは、直前のCL5節でセビージャ相手にアウェーで劇的な勝利を上げたばかりで、“気が抜けて”いた。
4節でインテルに逆転負けを喫したときもCL開幕戦でやはりセビージャ相手に引き分けた直後の週末だった。
難ゲームとなったCL3節のリヨン遠征を制したのはよかったが、4日後のセリエA9節では若手揃いのミランから0-1で仕留められている。いずれの敗戦でも、ユーベの選手たちの頭の中にはCLのアンセムが奏でられたままだったにちがいない。