セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
9月以降、最も勝ち点を稼いだのは?
セリエの弱小チームに起こった革命。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2016/12/02 07:00
ボローニャ戦でゴールを決め、喜ぶクルティッチ(右)らアタランタの選手たち。この試合も2-0で快勝し、6連勝を飾った。
22歳以下のほぼ新人4人を抜擢した勝算。
背水の陣でつかんだ連勝は、微妙な戦術修正と大胆な若手抜擢の賜物だった。
3トップから3-4-1-2にスイッチしたアタランタは、MFクルティッチをトップ下に置いたことで攻守の切り替えが安定し、縦への攻めがスムーズになった。
ナポリ戦の先発には決勝ゴールを上げたFWペターニャを含む22歳以下のほぼ新人が4人も抜擢された。彼らは、各国代表クラスを揃えリーグ屈指の攻撃力を持つナポリを見事に抑えきった。
試合前日、経験の浅い若手を並べた先発リストを監督からそっと打ち明けられたペルカッシ会長は、不安で眠れぬ夜を過ごしたという。
だが、指揮官ガスペリー二には確かな勝算があった。
「実際のゲームで重要なのはどれだけ走れるか、どれだけプレーできるか。年齢は関係ない。うちの選手たちには排気量の大きなエンジンが備わっている」
ローマ相手には戦術の柔軟性も発揮して勝利。
ナポリ戦の勝利で、智将は確信を得た。
9節インテル戦は先制した後に追いつかれ、激昂したガスペリーニが今季2度目の退場を命じられる難しい展開を強いられたが、それでも終盤まで攻め立てた結果、88分にPKを獲得して押し勝った。
圧巻だったのは、2位ローマをホームに迎えた13節だ。
同じ3-4-1-2をぶつけてきたローマに前半攻めこまれたものの、ガスペリーニは戦術家の本領を発揮。後半に4-4-2から3-4-3へ2度戦術を修正しながら、90分にローマ守備陣を突き崩してPKをもぎ取ると19歳のチーム得点王、MFケシエがこれを決めて2-1で会心の勝利を収めた。
アタランタの勢いはちょっと止まりそうもない。