セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
9月以降、最も勝ち点を稼いだのは?
セリエの弱小チームに起こった革命。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2016/12/02 07:00
ボローニャ戦でゴールを決め、喜ぶクルティッチ(右)らアタランタの選手たち。この試合も2-0で快勝し、6連勝を飾った。
「監督の練習で、何度ブッ壊されそうになったか」
ガスペリーニが抜擢し、若いチームの象徴となっているのが、地元出身で'94年生まれの“三羽烏”だ。
今秋、セリエA出場歴が二桁にも満たないうちにイタリア代表から初招集を受けたインサイドMFガリアルディーニ。
3バックを統率するCBながら、すでに3ゴールを上げた読書家のDFカルダラ。
そして、右サイドを主戦場とする韋駄天タイプのDFコンティ。
ナポリ戦からスタメンに定着したMFガリアルディーニが他の2人とともに智将に寄せる信頼は篤い。
「ガスペリーニ監督との練習で、何度ブッ壊されそうになったことか(笑)。でも、彼の指導で僕らは確実にうまくなってるっていう実感がある」
7歳のときに揃ってクラブの少年部門に入門した彼らは、20歳前後で武者修行に出るまで、ずっとアタランタ一筋で育っている。
イタリア代表の若手発掘にはアタランタ勢がひしめく。
幼馴染み3人組が切磋琢磨してきたアタランタの年代別チームは、イタリア屈指の育成組織だ。U17とU15の2チームは昨季揃って全国制覇のタイトルをクラブにもたらした。
今シーズン、アタランタはさらにプリマヴェーラ(=ユース)以下の年代別リーグでも国内を完全制圧。11月上旬時点でプリマヴェーラ、U17、U16、そしてU15の4リーグ戦で同時に首位に立つという快挙を達成すると、同月の代表期間中に各年代別イタリア代表へ大量9人を送り込んだ。
次世代のA代表選手を発掘する目的で、アズーリの新監督ベントゥーラが11月下旬に開催した強化合宿では、招集された22人中実に7人が'94年組三羽烏を初めとするアタランタ勢だったために、イタリアとアタランタをくっつけた「Italanta」という造語まで生まれた。
育成王国アタランタこそ、イタリアの若手復権の旗頭なのだ。