セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
9月以降、最も勝ち点を稼いだのは?
セリエの弱小チームに起こった革命。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2016/12/02 07:00
ボローニャ戦でゴールを決め、喜ぶクルティッチ(右)らアタランタの選手たち。この試合も2-0で快勝し、6連勝を飾った。
35歳の主将ライモンディ「若さってのはいいもんだ」
ただし、若さの勢いにまかせたチームは、往々にしてシーズン後半戦に急失速する。長丁場のペース配分が経験則として身についていないからだ。
若手の経験不足をカバーしつつ、彼らと少々偏執的な戦術家との間を取り持つのは、35歳の主将ライモンディをはじめとするオーバー30のベテランたちだ。たとえ出場機会が減少しても、彼らはチームの快進撃を支える心構えができている。主将は言う。
「若さってのはいいもんだ。つい昨日までひよっ子だと思ってた選手が、ある日突然どでかい大仕事をやってのける。大事なのは、そのときに若造たちが思う存分暴れられるよう、俺たち老兵が練習から試合の入り方までうまく導いてやることさ」
そしてついに、監督の原点ユーベとの戦いに。
今週末、12月3日にアタランタは難攻不落のユベントス・スタジアムへ乗り込む。
ボローニャ戦で2アシストを決めたMFゴメスはすでに臨戦態勢だ。チーム全体に漲る闘志を代弁する。
「あちらさんのホームだが、俺たちは勝ちに行くぜ!」
20年を越す指導者キャリアを持つ智将ガスペリーニは、今季開幕直後の解任危機から脱した後の快進撃で、クロトーネ、インテル、ジェノアと過去に率いた古巣を次々に破ってきた。
育成部門のコーチとして9年を過ごしたユベントスはガスペリーニにとって指導者キャリアの原点であり、敵将アッレグリは現役時代からの旧知だ。互いの腹の探り合いはもう始まっている。
大一番への意気込みを問われたガスペリーニは「われわれの自然体で挑むよ」と策士のポーカーフェイスを浮かべた。
新天地アタランタで見出した新たな教え子たち。
「彼らがどこまで成長するのか予想がつかんよ。このチームは毎週強くなる」
今週末の好ゲームを期待するなというのは、無理な相談のようだ。