ゴルフPRESSBACK NUMBER
20歳そこそこの選手が上位独占!
米女子ゴルフ界で起こる革命とは。
text by
南しずかShizuka Minami
photograph byShizuka Minami
posted2016/11/29 07:00
米女子ツアー最終戦の初日に同組だった(左から)アリヤ・ジュタヌガーン、リディア・コ、ブルック・ヘンダーソン。
総合力が、より高い次元で問われるようになった。
宮里が言うように、活躍する若手は「パーオンしたホールのパット数(パットの上手さ)」と「60台でラウンドした回数(安定感)」が際立つ。
数年前までは、「ドライバーが飛ぶ」、「パットが上手い」など、突出した武器が1つあれば優勝争いに絡んでいけた。しかし今季は、かなりの選手の飛距離がアップしたため、新しい道具に適応して、そこそこ飛ばすのは当たり前。加えて、良いショットを放ち、バーディパットが決められるかどうかという「総合力」が勝負の分かれ目となっているようだ。
今季2勝を挙げた日本の若きエースの野村敏京が、まさにそうである。
ADVERTISEMENT
ドライバーの平均飛距離は256.257ヤード(57位)で、どちらかというと飛ぶ、というレベル。ショットとパットを武器にバーディを量産し続けた。
筋力トレーニングを当たり前のようにする選手が増えた。
忘れてはならないのが、技術を正確に体現するフィジカルの強さが最近の若い選手には備わってきている、ということだ。ドライバーが飛ばないリディアにしても、その肉体はガシッとして非常に逞しい。
宮里美香のトレーナーの工藤健正は「トレーニングを当たり前のようにする選手が増えてきた」と言う。
「(練習日に)ゴルフ場にトレーニングウェアで現れて、トレーニングして、ご飯食べて、ゴルフウェアに着替えて練習している」
ゴルフ場のクラブハウス内にジムがあったり、ツアーが用意するフィットネスカーが設置されたりして、選手にとってトレーニングしやすい環境が整っている。
最優秀選手のタイトルを手にしたアリヤは、今オフに初めてパーソナルトレーナーを雇ってトレーニングを始めるのだという。ブルックとインジは今季初めてフル参戦し、各コースと転戦の仕方を学んだ――まだまだ各選手の伸びしろは大きいのだ。
リディア世代が頭角を現したことで、米ツアーのレベルが格段に上がった。
お互いを意識し切磋琢磨すれば、ますます強くなる、はずだ。