話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
「何も手にしていない。はしゃぐな」
小笠原、永木コンビこそ鹿島の魂。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byKiichi Matsumoto
posted2016/11/28 17:30
終盤に投入された植田直通とも意思疎通を欠かさない永木。加入1年目にして早くも“鹿島イズム”を感じる選手に成長した。
本田泰人、小笠原と継承された魂が永木にも注入。
かつて本田泰人がボランチの教育係だったが小笠原がレギュラーになってからは背中で語りながら今まで相棒を育ててきた。青木剛、柴崎岳を始め、永木も今まさに鉄人の薫陶を受けているところだ。さらに本人も鹿島の伝統の強さみたいのも感じているようだ。
「チャンスを点につなげると、鹿島は強いなと自分でもプレーしながら思っていました。あとは決め切るところを決めたり、最後もチャンスがあったけど追加点を取れればもっと強いチームになる。今日は本当に魂の入った、気持ちのこもったゲームだった。自分たちのマイボールにするとか、ファールをもらうとか、細かいところの積み重ねで今日の勝ちが転がってきたのかなと思います」
「失うものは何もないですから喰ってやろう、と」
決勝は、年間王者の浦和レッズと戦うことになった。今シーズンは1stステージアウェイで2-0で勝ち、2ndステージはホームで1-2で敗れている。1勝1敗の五分だが、川崎戦に勝った分だけ、鹿島は勢いを持って決勝に臨める。
とはいえ、小笠原は「まだ何も手にしていない。はしゃぐな」と選手に喝を入れた。そのせいか試合後、選手たちの表情には浮ついた感がなく、恐いぐらいに冷静だった。
強い鹿島がここにきて覚醒した感がする。
「浦和は本当に力のあるチームでセカンドステージはほとんど負けていないですし、誰が出ても同じサッカーをしてくる。次はホームなので絶対に負けられないですし、今日みたいに気持ちのこもったゲームをしたい。僕たちは年間3位なので失うものは何もないですから喰ってやろうと思います」
浦和戦も小笠原とふたりでどっしりと中央に構え、相手の攻撃の芽を摘むだろう。
攻撃では川崎戦はカウンターによく絡んでいたが、永木のもうひとつの良さはミドル。ガチガチの固い試合になりそうな初戦では、かなり効きそうだ。デュエルぶりに満ちあふれた守備だけではなく、攻撃でも存在感を示すことができれば十分、大物喰いを果たせるだろう。