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「45歳、49歳になっても向上する」
葛西紀明が目指す“9回連続”五輪。
posted2016/11/30 08:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
ウインタースポーツが、本格的な開幕の時期を迎えた。スキー・ジャンプも11月24日、フィンランドのルカでワールドカップ開幕戦の予選がスタート。来春までの長いシーズンが始まった。
日本男子の中で、今季も注目を集めるのが葛西紀明だ。10代の頃から日本代表で活躍し、史上最多の7度目の出場となった2014年ソチ五輪のラージヒルで、41歳にして銀メダルを獲得。その後も日本代表として活躍を続けている。
2014-2015年シーズンは、自身の持つワールドカップ最年長優勝記録を塗り替えるなど計6度表彰台に上がり、総合順位では6位。昨シーズン自身の持つワールドカップ最年長表彰台記録を更新。また表彰台に計5回にわたって上り、総合順位でも8位に入った。
これは2シーズンともに、日本勢最高の成績である。また、今年3月17日、スロベニアのプラニツァで行なわれた大会でワールドカップ通算出場試合数を500とし、ジャンプ競技では史上最多出場記録を更新し続けている。
「45歳、49歳でも、体力や技術は向上するはず」
葛西は44歳となり、新たなシーズンを迎えた。驚くべきは、衰えを知らないモチベーションだ。悲願としてきたオリンピックでのメダルを手にしたソチの試合のあと、すぐさま平昌出場を目指す意向を明らかにしたことからも、それは明らかだろう。
「金メダルという目標ができているので、それを目指してまたやっていきたいです」
その言葉通り、休養することもなく、ジャンプに打ち込んできた。ただ競技を続けるのみならず、日本男子のエースとして、結果を残してきた。
ソチ五輪前、葛西は、モチベーションの在り処をこのように説明していた。
「オリンピックで満足の行くジャンプができたことがほとんどなかったことの悔しさですね」
その思いでソチ五輪での銀メダルを獲得した。その後、モチベーションの源が変わったという。
「45歳、49歳と自分の体力や技術はもっと向上すると思っています。最後まで、行けるところまで行ってみたいですね」