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韓国も日本も外国人監督で大混乱!?
ロシアW杯最終予選、両国を徹底比較。
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byGetty Images
posted2016/10/19 17:00
どうしてもフース・ヒディンクと比べられてしまうシュティーリケ韓国代表監督。過去にも、ウンベルト・コエリョ(ポルトガル)、ヨハン・ボンフレール(オランダ)、ディック・アドフォカード(同左)、ピム・ファーベック(同左)と外国人監督も多かった。
アジアカップ準優勝で一気に評価を上げた監督。
当初は韓国記者からも「よくわからない人が来て、ドン引きしている」という話が出ていた。1970年代、現役時代にレアル・マドリーで大活躍したドイツ人。母国の年代別代表の指導で名を上げたが、近年はカタールリーグを転々としていた。
それでも、2015年1月のアジアカップ準優勝で一気に評価を上げた。「ボールを持ったら創造性を」と発言すると同時に「ボールを失わない責任も」といった点を教え込み、結果を残したのだった。また、今年6月5日にはチェコとのアウェーゲームで2-1の勝利。その4日前にスペインに正面衝突を挑み、1-6と敗退した後、現実的なサッカーに切り替えてチェコに勝利したのだ。最終予選への準備段階では期待を抱かせる部分もあった。
しかし、9月1日の最終予選初戦中国戦で3-2の辛勝。ここから強い批判を受け続けている。
指揮官への不信。過去の栄光。欧州組の存在。
日本と韓国には、似た事情がある。欧州トップクラスでの実績に乏しい指揮官への、根本的な不信感。そしてかつてアジアで圧倒的な力を誇った時代を忘れられない世論。日本は'06年大会の予選を世界最速で突破し、韓国は'10年大会予選を無敗で通過した。
さらに類似点として挙げるべき点が、欧州組の存在だ。
韓国には日本とは違い中東・中国でプレーする選手もいるので、完全に状況は一致しない。しかし「主軸が欧州組」という点では同じ悩みを抱える。
両国をウォッチングしてきた感覚からいうと、ここ最近は日本も韓国も、次のような認識が潜在的にあると感じる。
「なぜ、欧州組全盛期なのに、結果が出ないのか?」
近年の課題として、しっかり注視すべき点だ。両国ともに欧州組が代表の主軸になってきたのは2002年ワールドカップ前後から。日本に限っていうと先発メンバーの8割以上を欧州組が占めているが、その状態となってわずか3、4年しか経っていないのだ。
両国ともにその存在のリアリティに気づき始めている。
彼らは勝利を無条件でもたらしてくれる使者ではない。人間だからコンディションがある。所属クラブで試合に出られなければ勝負勘も鈍る。