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森脇、柏木、阿部それぞれの喜び方。
浦和の9年ぶりのタイトルに思う事。 

text by

飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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photograph byJ.LEAGUE.PHOTOS

posted2016/10/18 11:30

森脇、柏木、阿部それぞれの喜び方。浦和の9年ぶりのタイトルに思う事。<Number Web> photograph by J.LEAGUE.PHOTOS

ルヴァンカップの決勝、埼玉スタジアムには5万人を超える観客がつめかけた。彼らが目撃したのは、伝説の始まりだったのだろうか。

レッズと戦っていた頃から阿部が感じていること。

 阿部がジェフ千葉から移籍してきたのは2007年1月、初のリーグ優勝と天皇杯の連覇を成し遂げた直後、まさにここからタイトルを積み重ね、黄金時代を築くことが期待された時期だった。

 ところが、その後に獲得できたのは、2007年のアジア王者の称号ただひとつ。阿部自身も南アフリカ・ワールドカップが終わった直後の2010年8月、イングランドのレスターへの移籍が決まり、浦和を離れることになった。

 1年半後、再び赤いユニホームに袖を通すことに決めたのは、自身同様イビチャ・オシムを師と仰ぐ「ミシャと一緒にプレーしたい」という思いと、「サポーターに何も返せていない」という思いがあったからだ。

 自身とチームへの期待の高さと、タイトルを獲れない責任の重さを誰よりも痛感しているから、阿部はプレッシャーに苛まれてきた。だが、そのプレッシャーこそが、自身を強くするものだと感じてきたという。

「その前の年にリーグ優勝していたから、そういう(タイトルをさらに獲るという)思いでレッズに来たし、プレッシャーが個人として強くしてくれている部分がある。レッズと対戦して、その雰囲気の中で毎試合プレッシャーを抱えていたら、強くなるんだろうなっていうのは思っていたので」

遠藤航がかけられた「タイトル頼むよ」という声。

 今季、湘南ベルマーレから加入して、「サポーターの皆さんから『タイトル頼むよ』とか、『年間チャンピオン取ろう』という声を掛けられてきた」という遠藤も、その責任とプレッシャーが自身の成長につながっていると感じている。

「ホームの声援って自分たちにとって大きくて、正直、最初の頃はプレッシャーになってもいたんですけど、今は何試合も経験したから慣れたし、試合後に僕の名前をコールしてもらえると自信を深められるし、少しは信頼してもらえているのかなって感じることができた。今年、メンタルの部分で成長したと思うんですけど、それはこのチームのサポーターの厳しい目のおかげかもしれないし、『遠藤コール』をもっとしてもらえるように、これからもいいプレーをしていきたい」

【次ページ】 サポーターと選手は“親子のような関係”か。

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